ビッグバンドのリードアルトを担当しているサックス奏者のほとんどから、「神」として崇められている稀代の名リードアルト奏者、マーシャル・ロイヤル(Marshal Walton Royal Jr.)は、1912年に米国オクラホマ州の小さな町、サプルパの音楽一家に生まれました。
子供の頃からマーシャルは、バイオリン、ギター、クラリネット、サックス等、様々な楽器を学びました。兄のアーニー・ロイヤルはジャズ・トランペットを学び、後に多くの機会で兄弟で演奏しています。
最終的にアルトサックスに専念することにしたマーシャルの最初のプロとしての仕事は、後にデューク・エリントン楽団の名トロンボニストとして名を博した、ローレンス・ブラウンのバンドでした。その後西海岸をベースにジャズの10ピースバンドやダンスバンドで演奏活動をし、1940年から1942年まで名門ライオネル・ハンプトン楽団に所属しました。
しかし第二次世界大戦によってそのキャリアは中断され、戦時中は海軍航空訓練学校の軍楽隊等で演奏していました。戦後の不況で一時期解散していたカウント・ベイシー楽団が1952年に再結成される際、後の看板メンバーとなるフレディ・グリーン、サド・ジョーンズ、ジョー・ニューマン、フランク・フォスター、フランク・ウェス等の一流プレイヤーとともに、リードアルト兼コンサート・マスターとしてマーシャル・ロイヤルも参加し、一気にベイシー楽団は絶頂期を迎えることになります。
1952年から1970年までの20年近くの間、カウント・ベイシー楽団の魅力的なサックスサウンドは、マーシャル・ロイヤルのヴィブラート強めの、クリアで伸びやかなアルトサックスがけん引しました。
ビッグバンドのリードアルトは、サックスセクションの中でも特別な才能が求められます。リードトランペットとともに、そのバンドのサウンドの強い芯を作ることが求められます。
マーシャルの遅れ気味の粘ったフレージング、はっきりとしたヴィブラート、そして積極的な強弱のコントロール等、彼のリードアルトのスタイルは多くのアンサンブル奏者に多大な影響を与え、サックスセクションをスイングさせるためのひとつのセオリーとなりました。
マーシャルの楽器はコーンの26M にマウスピースはラニオンのAmberという透明アクリル製のオレンジ色のマウスピースです。アメリカンジャズサウンドの代表とも言えるコーン26Mと、明るく切れの良いサウンドが特徴のラニオンマウスピースで、マーシャルは絶妙に「濃厚なフレージング」を操りました。
1970年にベイシー楽団を離れた後、マーシャルはロサンゼルスに居を移し、独自の音楽活動を続けました。ケニー・バレルやスヌーキー・ヤングらとのアルバムを録音したり、1987年のコンコード・ジャズ・フェスティバルでは、84年に亡くなった御大ベイシーを追悼するスペシャルバンドに参加し、かつてのベイシー楽団の同僚らと共演しています。
最晩年はラスベガスのショーバンドで演奏していたとの噂もありますが、1995年にカリフオルニア州カルバーシティで、82歳で亡くなっています。
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