今回の偉人は個人ではなくグループです。ウディ・ハーマン楽団でも演奏していたサックス奏者のメッド・フローリー(as)とベーシストのバディー・クラークが、あのジャズサックス界のレジェンド、チャーリー・パーカーへのオマージュとして1972年に創設したグループ、それが『スーパーサックス』です。
このグループは、ビッグバンドのサックスセクションと同じ、アルトx2、テナーx2、バリトンx1にリズムセクション(ベース、ピアノ、ドラム)、そして金管楽器(トロンボーンまたはトランペット)数本によって編成され、パーカーが録音で残したソロの名演奏を完壁に採譜(トランスクリプション)し、サックスセクション用にハーモナイズして演奏するという、とんでもないプロジェクトを実現しました。
メッド・フローリー(as)、ジョー・ロペス(as)、ウォーン・マーシュ (ts)、ジェイ・ミグリオリ(t s)、ジャック・ニミッツ(bs)によるサックスセクションは、パーカーが演奏したバリバリの超速バップフレーズを、一糸乱れぬアンサンブルで再現し、1973年にリリースされた『スーパーサックス・プレイズ・バード』は、1974年のグラミー賞で最優秀ジャズパフォー マンス賞を受賞しています。スーパーサックスの活動はメンバーを変えながら1988年まで続きました。
スーパーサックスはその16年の活動期間で、11枚のアルバムを発表しています(1975年の来日時のライブ音源は解散後の1998-99年にリリースされています)。
中でも5人組のジャズコーラスグループ、『L.A. Voices(エル・エー・ヴォイセズ)』とともに録音した3枚のアルバムは高い評価を得ており、『Supersax & L.A. Voices, Volume 1(1983)』では、最優秀ジャズボーカルパフォーマンスとしてLA Voicesがグラミー賞にノミネートされています。
またチャーリー・パーカーの名盤『ウイズ・ストリングス(1949)』からの名演奏3曲を含む、『スーパーサックス・プレイズ・バード・ウィズ・ストリングス(1975)』での拝情的で哀愁を帯びた演奏は、ジャズファンならずとも魅了されてしまいます。
ビッグバンドで同じ楽器セクションが単独で合奏することを「ソリ」と言い、サックスセクションの合奏、「サックスソリ」はビッグバンドの演奏の中の醍醐味のひとつとなっています。要は1曲丸まる、サックスソリが詰まった演奏がスーパーサックスなのですが、その内容が「パーカーの完コピ&ハーモナイズ」といったところが当時話題を呼びました。
スーパーサックスという「スーパー」な試みが成功したのは、ある意味チャーリー・パーカーの偉大さゆえと言っても良いでしょう。もちろんスーパーサックスのメンバーの演奏技術、音楽センスによるところでもあるのですが、そんな彼らが「やりたい」、聴衆が「聴きたい」と思ったのが、完成度の高いパーカーのソロなのです。
パーカーのアドリブは、リズムもフレーズもあいまいな部分が無く、あらかじめ用意・練習していたのではないかというほどの完成度でした。天才パーカーを蘇らせたスーパーサックスも、また偉人と言えると思います。
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