一部のジャズマニアやテナーサックスプレーヤーに、「ジョーヘン」の名で親しまれている伝説のテナーサックス奏者、ジョー・ヘンダーソンは1937年4月24日、テレビドラマ「Glee(グリー)」の舞台になったオハイオ州ののどかな街、ライマに生まれました。
高校時代にサックスを始め、同時期にスクールバンドやロックグループのために作曲もしています。18歳からデトロイトのジャズシーンでプロとしての活動を始めており、23歳から2年の軍隊勤務を経て、ニューヨークでの演奏活動を開始します。
64歳で肺気腫闘病の末、心不全で亡くなるまで、ジャズばかりでなく、多岐に渡る音楽シーンで活躍しました。
「ジョーヘン」を紹介するとき、一番困るのが「どんなテナーを吹くの?」という質問です。名盤と言われる録音を参照しても、「小さな音で、テナーらしい豪快さはなく、分かり易いモードフレーズを淡々と吹く…」などというネガティブにしか聞こえない説明になってしまいます。でもこういう「ジョーヘン」が、誰と、どんな音楽を、どんな曲をやっても、吹く姿、サウンド、フレーズがとてつもなくカッコ良いのです。
ジョーヘンのテナーは、ハードバップからR&B、ラテンやフリージャズ(アヴァンギャルド)、はてはブラスロックまでと幅広いスタイルが特徴です。正確にジョーヘンの音楽キャリアを列挙すると、とんでもない文字数が必要なので、ざくっと主な共演者や所属バンド、参加アルバム等を挙げてみます。
ケニー・ドリュー(p)とケニー・クラーク(Dr)、ホレス・シルバー(p)バンド、ハービー・ハンコック(kb)の『ザ・プリズナー(1969)』、リー・モーガン(Tp)の『ザ・サイドワインダー(1963)』、マイルス・デイヴィス(Tp)・クインテット、フレディ・ハバード(Tp)、ブラッド・スウェット・アンド・ティアーズ、サド・ジョーンズ=メル・ルイス・オーケストラ、などなど。サックスプレーヤーとしての活動だけでなく、作曲や編曲の分野でも功績を残しています。
どんな音楽ジャンル、どんなステージに立ってもジョーヘンは淡々と、理解し易いフレーズと押し出し過ぎない音色で、自分の音楽世界を作り出します。ハードバップからモードへの転換期にデビューしたジョーヘンは、ウェイン・ショーターらとともにポスト・コルトレーンの1番手として期待され、数多くのセッションに参加しています。モード奏法を完全に自己のオリジナリティにまで高めたフレージングは他の追随を許さず、本家のコルトレーン以上にメロディアスで創造性豊かなソロを展開しました。
後年の多彩なジャンルでの演奏においても、システマティックで歌心を持ったモーダルなアドリブは、60年代から80年代のジャズ、また他のジャンルの音楽に大きな影響を与えました。
ジャズテナーは、「コルトレーン派」や「ロリンズ派」などの分類用語が多用されますが、一部のジャズテナーファンの中では、「ジョーヘン派ってあってもおかしくない」とも言われています。
ジョーヘンのテナーはセルマーのMark VI(シリアル#56xxx) 、マウスピースは同じくセルマーのソロイストのショートシャンクにこだわっていたようです。サウンドの傾向から、あまりティップの広くないものを使っていたのでは、と言われています。
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