コロナ禍が収まりを見せないなか、皆さんは「うがい・手洗い」を励行する毎日でしょうか。ところで、サックスにもうがいと手洗いは必要なことをご存じですか?
水をじゃぶじゃぶかけて洗えるトロンボーンやトランペット等の金管楽器に対し、サックス等の木管楽器は「水洗いは厳禁」と言われています。楽器の部品に、フェルトやパッドなど、水に濡れると芳しくないモノがあるため、もっぱら水分を拭き取るほうの掃除が木管楽器のお手入れのルーチンとなっています。
でも、たまには水を使った「うがいと手洗い」も、やったほうが良いのです。
サックスは水分に敏感で、大量に水分を与えれば、簡単に劣化してしまう部品が数多くあるため、使用する度に水分を吸い取る「スワブ」を使って、管体の内側を「ドライ」に保つように手入れします。
とは言えサックスも構造的には、「沢山穴の開いた金属パイプ」であり、その中に息を入れ続けて使用する訳ですので、呼気に混ざった唾液のタンパク成分や、空気中のホコリが管体の内外に付着します。そのような汚れは、頑固に固着する前であれば、水で簡単に除去することが出来ます。しかし愚直にスワブのみの手入れを続けていれば、長年の間に些細な汚れも頑固なものへと蓄積していきます。
ヴィンテージサックス購入時の「あるある」に、「ネック内部からの異臭」や「U字管内部のヘドロ」などというトラブルが挙げられることがありますが、これらは「水洗いを避け続けた結果」とも言えるでしょう。
水洗いその1、マウスピースを水で洗いましょう。マウスピースの汚れは、ほとんど唾液のタンパク汚れです。流水の下で指で優しく撫でるだけで驚くほど奇麗になります。
その2はネックに水を通してしまいましょう。水道の蛇口から出る水を、ネックのジョイント部分から入れて流し、管の内部を洗います。またソケットの付け根の角溝は柔らかい歯ブラシでこすって洗います。その後スワブを通し、かつクロスやガーゼで内外の水分を徹底的に取り去ります。オクターブホールのパッドから水分を拭き取るのを忘れないでください。ドライヤーの冷風で乾かすのも効果的です。
次は左手まわりのトーンホールから飛び散った水分による、管体外側に点々と付着したタンパク汚れの除去です。これらは水に濡らして硬くしぼったガーゼなどで、簡単に拭き取れます。細かいところは湿らせた綿棒等も便利です。ベルの内外は水拭きで驚くほど奇麗になります。
最後はU字管の底の水拭きです。ある程度の長さと太さの棒の先に、湿らせたタオルやガーゼを巻き付け、ベルから差し込んで、優しく底をくねくねと拭いてください。もちろん最後はスワブで水分を吸い取ります。
マウスピースの水洗いは月に一回程度の高頻度(?)がお勧めですが、他の水洗い系お手入れは、年に一、二回程度で十分です。自分のサックスの状態を良く観察して、適切なタイミングで「大掃除」をし、楽器の寿命を延ばしてください。
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