性能の良いリードトリマーや、リード専用刃物のReed Geek、ガラス製の棒ヤスリと平面プレートを合わせたリードリサーフェサー等、リードの調整に便利な道具が色々と手に入るようになってきました。また市販のリードをユーザーの希望に沿って再調整する、調整リード販売なるビジネスもあるようです。
サックスのリードの調整については、本欄でも何度か取り上げていますが、あらためてリードの調整についてお話ししましょう。
昔はリードの調整にはもっぱら「トクサ(砥草、木賊)」を使いました。トクサはアシの仲間で、河原や薮など、色んな所で見られる細長い茎を持つ雑草で、どこでも手に入りました。茎がザラザラとして砥石のようにものを研ぐことが出来ることから「砥草」と呼ばれたようです。
直径5mm程の茎を5、6cmの長さに切り、ざらざらの部分でリードの表面の両サイド、「サイド」や、盛り上がった部分の先端、「ハート」を削って調整します。現在では400番程度の紙ヤスリを使うのが一番安価な方法でしょう。
オーボエ等のダブルリードの製作・調整には、鋭く研いだリードナイフを使うのが一般的なことから、シングルリードの調整も「刃物」がやり易い、という方々もいます。リードリサーフェサーはヤスリ系、Reed Geek は刃物系のリード調整道具ですね。
リードの調整は、「どうしようもなく鳴らないリード」に対しておこないましょう。特殊な測定器等を持っている場合以外は、リードメーカーが仕上げた「鳴るリード」をそれ以上に鳴らせることはほぼ不可能です。
また「鳴らないリード」だからこそ、難しい調整が失敗しても「ダメ元」で済むわけです。「ダメリードをすぐに捨てずに、なんとか練習用にでもならないかいじってみる」、がリード調整の本質です。 調整の細かい方法は、ネットや書籍に大量のノウハウが溢れています。
どの方法があなたにしっくりくるかは、沢山の「無駄骨」や自分なりの工夫が必要となるでしょう。まずは数をこなす事です。
とはいえ、リード調整に際しての最低限の原則は存在します。それは「左右対称」と「滑らかな表面」です。
リードはサックスが鳴るとき、複雑な周波数で振動します。その振動のし易さが「鳴る」であり、振動にムラや難がある場合に鳴らないリードとなります。「振動する板」であるリードは左右対称に波打ち、かつ表面の凹凸で振動エネルギーが吸収されないことが大切です。
マウスピースを左右45度に傾けて咥えて吹き、リードの左右で鳴りムラが無いか確認してください。鳴りが良くない側のリードサイドを少しずつ削ると、バランスが改善され、鳴るようになる場合があります。リードの表面がザラザラと荒れている場合は、ヤスリで削るなり、爪の先で磨くなどで、表面を整えてください。それだけで鳴りが向上する場合があります。
リード調整はとにかく「経験」です。ダメリードを数年放置して置いたら、鳴るようになった、という話もよく聞きます。
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