「なんか良いマウスピースないかな」、「お、コレ、なんか良さそう!」、吹いてみて、「うん、良いじやん!」、「これ、ください」…。マウスピースの購入のシーンのようですが、ありそうで、まったく無いシナリオです。
新しいマウスピースを探すには、必ず「理由」や「目的」がありますし、モデルの選定は「評判」や「実績」を基にするでしょう。数本の試奏を繰り返し、比較によって最適なモノを選ぶというのが普通でしょう。かなり面倒臭いです。
でも実は単純です。マウスピースは見た目で選べば良いのです。(え、本当?)
使用中のマウスピースに何らかの不満が芽生えたり、自己のサウンドの変化への欲求が胸に湧いてきたときなど、「新しいマウスピース、買おうかな」、ということになります。世の中に何百種類もあろうかというサックスのマウスピースですので、どのモデルを試すかを決めることは大変です。
しかし、「先輩のxxさんがAを使っている」、「憧れのプレーヤーyyはBを使ってる」、「フュージョン系では最近Cが流行ってるらしい」というような情報で、だいたい試すモデルは絞られます。そんな外部からの情報に、自分の好みを加味することで、試奏するマウスピースを決めることになるでしょう。
自分の「好み」とは、吹奏感やサウンドではありません、「見た目の好み」です。吹奏感やサウンドは、試奏の結果分かることです。
「見た目」とは、スタイルや仕上げ、材質等が、自分の美意識やセンスにマッチしているかの事です。サックスを吹くたびに、目の前数センチで見つめ、吹いている間中口に咥えるのがマウスピースです。機能も大事ですが、奏者のセンスに合致することは重要です。
「リン〇ラバーの太さが嫌」とか、「リバ〇ユメタルの先端の角度が怖い」なんて感想は、まったく無い話ではありません。最近は押しなべて高額なものが多いマウスピースです。長く付き合っても飽きが来ない、「好きな形」であることは重要です。
マウスピースの見た目が重要という根拠には、もうーつの側面があります。マウスピースはその構造、機能、材質、使用法のために、完全機械化による製造が困難です。そして空気と振動という繊細な物理現象を相手にしているため、その仕上がりの精度には、非常に高いものが望まれます。
簡単に言い換えれば、マウスピースの製造には、ち密な手作業による仕上げが不可欠であり、その仕上げの状態で品質が分かる、ということです。
左右のサイドレールとティップレールの幅の均一性、エッジのきれいさ、ウィンドウの対称性、ティップの先端の円弧カーブの中心位置と弧の大きさ、バッフルのスロープの滑らかさ、ボアがマウスピースの中心に通っているか、チェンバーはしっかり磨かれているか、等々、の「見た目の美しさ」を確認できれば、そのマウスピースは「かなり、ちゃんとしている」のです。
マウスピース選びは、先輩や先生に選定してもらうのが失敗のない方法、とよく言われますが、この「見た目で判断」の方法でも、かなり良いマウスピースにたどり着けるはずです。
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