新型コロナウイルスの脅威が未だ収まらない昨今、ネットには「#(ハッシュタグ)吹いてみた」という、プロやアマのサックス奏者による「演奏動画」が数多く公開されています。3密を避ければ仲間との合奏もままならず、個人練習に明け暮れるサックス奏者が、あまりの孤独に耐えかねて、自分の演奏する姿を「見てくれえ!聴いてくれえ!」とネットに公開するのは必然の行動かもしれません。
では、「実は僕もやってみたいと思ってたんだ。」という方々向けに、「#吹いてみた」動画の制作の概要を紹介しましょう。
動画制作には機材が必要です。高校の映画部の機材と、劇場公開用の長編映画製作クルーの機材が違うように、「#吹いてみた」動画用の機材構成にも「ピン」と「キリ」があります。一番簡単な動画撮影は、スマホを自分に向けて撮影することです。マイナスワンの音源は、スピーカー付きのオーディオプレーヤーでそこそこの音量で流せば良いでしょう。
サックスは音が思いの他大きいので、録画する場所は反響が少ない広いところが無難です。マイナスワンの音量と自分のサックスの音量のバランス調整は、マイナスワン音源のスピーカーとスマホとの距離で調整します。スピーカーの音量調整でサックスとの音量バランスを取ろうとすると、スピーカーから相当の大音量が必要になってしまいます。ミニマムな撮影環境ですが、上手くいけばかなり良い音で録音できます。
望ましいベスト環境とすれば、専用のビデオカメラとマイク、オーディオミキサーが欲しいところです。
サックス録音用のマイク、マイナスワン音源用のラインイン、奏者へのマイナスワンフィードバック用のイヤホン出力、演奏音をミックスしての録画カメラへのラインアウト。安価な簡易型のオーディオミキサーでも十分対応でき、完成動画の音質は、演奏の質は別として(笑)、バッチリになるはずです。
サックス用マイクはベルを狙わず、奏者の左手の位置あたりに向けるのが良いでしょう。バランスの良いサックスの音が録れます。専用のビデオカメラであれば、画角も自由に取れます。顔をフレームアウトして隠すのが一般的なようですが、全身、半身、ローアングル等、色んなアングルが作れます。
ちょっとしたヒントを並べましょう。サックス奏者の右手側から撮影すると、サックスの美しさが写せます。立奏より座奏が良いでしょう。立奏の動画は、演奏中にフレーム内での体の揺れや被写体の逃げ(中心からズレる)が懸念されます。安定した画像のためには座奏が良いでしょう。
背景に個人が特定できそうなものを写さないようにしましょう。本棚の本の背表紙、壁に貼った何か、ガラスに写り込んだ反対側の風景等、思いがけない仔細な部分で顔バレします。サックスは照明が難しいです。電球のような点光源はサックスに反射すると、気になる「チカチカ」になりますので避けましょう。
「#吹いてみた」動画は、ネットに上げなくても自分の反省・改善用に有用です。是非「#撮ってみた」してください。
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