サックス 練習・レッスン

サイレントサックス

以前、小さな音でするサックスの練習について話しましたが、時代は「音無し練習」の世界に突入したようです。
あるメーカーから「サイレントリード」なる、音のしないリードが無音練習用として発売されてから、ネットでは自作の無音リードの紹介や、サックスの無音練習の効果的なコツなどが、数多く紹介されるようになっています。
息の抵抗やアンブシャの形をそのままに、リードを振動させずに、つまりまったく音を出さずにサックスを吹くという練習です。こうなれば音が筒抜けの集合住宅や、楽器練習の禁止された公園等でも、気兼ね無く「サックスの練習」が出来るようになりますね。
「無音リード」の考え方は、音以外の吹奏感をできる限り残したままで、リードを振動させずに、音の出ないサックス、サイレントサックスで演奏をしようというものです。ですので、下唇の置き場所であるリードは存在します。
製品のサイレントリードは、リードのティップ部分に厚みを作り、そこに息の入っていく適度な大きさのトンネルが設けられています。この息のトンネルによって、通常演奏時と同程度の息がマウスピースに入って行き、口腔側からの息のコントロールに違和感が無いように作られています。
ネットで流行っている「自作版」は、ダメになったリードの先端を5mm程度均一にトリムする(先端全体を切り取る)ことで鳴らないリードを作り、そのリードを先端合わせでマウスピースにセットする、というものです。自作版の場合はアンブシャの感覚は維持できますが、通常の吹奏時に比べ、より多くの息が持っていかれます。つまり吹いていて「スカスカ」します。しっかり設計された製品版との決定的な違いです。

サイレントサックスによる無音練習の長所は、音を頭にイメージしながら吹けるという点です。
音を出しておこなう通常のサックス練習では、音が出てしまう事に頼ってしまい、「出したい音、フレーズを頭に浮かべながら吹く」ということが疎かになりがちです。よく、サックスは「音が出てしまう楽器」と言われます。運指とアンブシャと息がある程度ならば、サックスは無理なく一つの音が出るような構造になっているからです。
トランペットやトロンボーン、フルートのように倍音のコントロールを連続的におこなわなければ、音階が出せない楽器は違います。常に自分の出したい音を思い描き、その音に楽器の音を当てるよう、「音を出す」必要があるからです。
サックスでフラジオの練習をするときには、出す音の高さをイメージすることが重要です。それによって喉や口腔の形が、出したい音のためのものになるからです。それと同様に、通常音域のサックス演奏でも、「出す音をイメージしながら吹く」と体がそのために最適化され、無理をせずに良い音が出せるといわれています。
サイレントサックスによる無音練習は、そんなことを意識すると、とても良い練習になるはずです。

 

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