サックス 練習・レッスン

小さい音で自宅練習

*サックスは音の大きな楽器であるにもかかわらず、その構造上、金管楽器のミュートのような、安価で効果的な弱音機が存在しません。ですので多くのサックス奏者達は、家族や隣人の居る自宅での練習は避け、スタジオやカラオケボックス等の屋内、または河川敷や公園などでの屋外での練習を余儀なくされます。しかし、もし自宅で練習しても、その音がとても小さければ良いわけで、テレビの音量程度の音ならば、家族や隣人に「うるさい!」と叱られることも無いでしょう。自宅でのサックス練習も決して夢ではありません。
 サックスの小さな音の基本は「サブトーン」です。息の全部を「リードの振動を主に主音(鳴らしたい音階)を鳴らすことに使う」のではなく、エアノイズや倍音の振動にも息を配分して使うことで、かすれたような、枯れたようなサウンドを得ることが出来ます。トランペットやトロンボーンでも似たようなサブトーンサウンドを出すことが出来ますが、音の出し方はかなり違うようです。しかしどんな場合も、「息が漏れている」訳ではありません。出す音がサブトーンでも、吐く息のすべてはサウンドを作り出すエネルギーになっています。「サブトーン?ああ、あの息が漏れてる音ね。」という認識は誤解です。サックスで主音を出すことは比較的簡単ですが、それ以外の音を出すには少々のテクニックが必要です。言い換えるならば、サックスで主音をメゾフォルテの音量で出すことが一番簡単で、主音をピアノの音量で出す、主音をサブトーンでピアノの音量で出す、となると、より高度な技術が必要になってきます。とは言っても「超絶技巧」では決して無く、「やや進歩した中級技術」程度ですので、サックス初心者でも十分挑戦することが可能です。

 さて家での小さな音でのサックスの練習です。たとえサブトーンでも、普通に吹いてしまえばかなりの音量になります。大きく息を吸い、ゆっくりと吐きながらリードとマウスピースが小さく音を出し始めるのを待つ、そんな感覚で「極小音量のサブトーン」が実現します。中音域から上のほうが、小音量のサブトーンは出しやすいと思います。試してみてください。
 小音量サブトーンの練習より静かなのが「倍音練習」です。一般的な最低音シ♭の発音から、同じ指使いでオーバートーンを順番に出していく、という練習は正直「うるさい」です。なので最低音シ♭(基音)とオクターブ上のシ♭(第二倍音)あたりは無視しましょう。最低音シ♭の運指で第3、4、5倍音はファ、シ♭、レです。小音量サブトーンの場合と同様に、たっぷりと息を吸い、ゆっくりと息をだし、今度は喉の開け閉めや舌の位置の工夫などで、倍音が小さく鳴ってくれるのを待ちましょう。電子チューナーなどで、出そうとする音をイヤホン等で流しながら、音を出すようにするのも効果的です。いずれ「消音練習」も地味ですが、サックスの基礎技術の向上に大きく貢献する効果的な練習です。

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