私達は、AIZENマウスピースを開発する時、以下のような特徴を持たせようと考えました。
このような狙いを念頭に置いて開発を進めていきました。しかし、AIZENマウスピース開発の出だしは決して順調ではありませんでした。
ありとあらゆるビンテージのマウスピースを集め、研究に研究を重ねました。これまでビンテージマウスピースに長く携わった経験から、2000個ものビンテージのなかからもっとも優れていると思われる物だけを選別しました。それらを様々な方法で徹底的にテストしましたが、どれひとつとして、完璧と言える物はありませんでした。どれもが何か一つは、問題があったからです。結局どれも満足できる物はありませんでした。
多くの時間と労力をかけた後、ついにやっと一個探し出しました。それを分解し、限界まで吟味して作り出した物が、今日AIZENマウスピースとしてユーザーの皆様にお届けしています。しかし、もっと上のレベルを目指して、これからも研鑽を積む覚悟です。
マウスピースの材質は音色や吹奏感に直接影響するかなり大きな要素です。1950年代のサウンドを再現するため、私達は、様々な材質を研究し、テストしましたが、いつも失敗ばかりでした。途中で何度も投げだそうと思いました。良い音色であること、コントロールしやすく、扱いやすいこと、製造工程において高精度が保てること、乗り越えなければならない関門は沢山ありましたが、一つ一つクリアしていきました。そして最後にやっと理想の素材に出会えることができたのです。
残念なことですが、大量生産のマウスピースは殆どすべて、精度が悪く、ばらつきが大きいというのが現実です。それには多くの原因がありますが、工場で生産に携わるスタッフの技術が未熟であること、また、採算性のため、一個一個の品質チェックにコストをかけられない事が大きな要因です。結果として、市場には精度の悪い製品が溢れかえり、消費者が自らが良い物を選別しなければならない状況です。
AIZENは選び抜かれた素材と熟練の技術でこの問題を解消しました。製造中に何度もチェックを重ね、精度のばらつきを最小限に抑えています。出荷前にも一個一個、あらゆるコンディションを再確認し、また実際に吹いてテストし、本当に自信を持ってお勧めできる物だけを出荷しています。このため、お客様は安心してAIZENの製品をお買い上げ頂くことが出来ます。
非常に出来映えの良いサックスというのはまさに職人技のなせる代物で、使い勝手、音色、見た目どれも大変素晴らしいものです。私達は、それと同じように、マウスピースにおいても、美しさも追求すべきだと考えました。ユーザーの皆様に使い勝手、見た目の美しさ両方ともご堪能頂けるよう研鑽を積んでいます。
しかし、マウスピースに美しく細かい彫刻を手彫りで入れるというのはそうそう簡単な事ではありません。この彫刻職人に出逢うまで、日本中を探し回り、やっとのことで見つけました。この職人の技術は、僅か2センチ角のマウスピースに、複雑な曲線の彫刻を正確に入れることができるというものです。この熟練の技により、すべてのAIZENマウスピースには手彫りの紋様が入っています。これはマウスピース業界初の試みです。
AIZENは全ての工程を手作業で行います。マウスピースは繊細な楽器ですので、少しの歪みやバランスで音が鳴りづらかったり、吹きにくかったりということがあります。
機械の方が均等になるじゃないか、という方もいらっしゃいますが、いくら機械の技術が進んでもやはり職人の勘には勝てないのかも知れません。
熟練の職人になると、機械加工ではどうしても出せない1000分の1ミリという精度を指先で感じ取って修正することができるのです。私たちはどんなに優れた高価な機械で削っても、それだけでは優れたマウスピースを作るのは難しいと思っています。
やはり職人の手を入れ、機械にはわからない部分を人間の手で調整する必要があると思っています。
一個一個のマウスピースを追い込み、納得のいくレベルまで仕上げていく作業は容易ではありません。
これまでの経験からどうやれば良い響きになるのか、より心地良い吹奏感になるのか、日々沢山の発見があります。
経験から得られた知識と技術を少しずつ盛り込みながら、AIZENのマウスピースのクオリティをさらに上げて行ければと考えています。
仕上げるのに余計な時間はかかっても、お客様の喜ぶ姿を見たいという思いで日々作っています。
AIZENには絶対に譲れない事があります。それは納得した物ではければ一切お売りしないというモットーです。チェックを重ねて仕上げを行い、納得しなければ絶対にお出ししません。圧倒的に吹きやすく、音色も良い物はどんな人が使っても、他の製品との違いがわかるはずだと思います。いつもお客様の立場で、使い心地の良い製品をお出しできるように、ひたすら研鑽し、ひたすら改善していければと思っています。
1970年以降、マウスピースも大量生産されるようになり、仕上がり精度の低いものがしばしば見られるようになりました。そのため、プレイヤー自身が楽器店に出向き、良い物を選定しなくてはなりませんでした。
AIZENはマウスピースの精度にこだわり、全てハンドメイドで製造しています。この製法により、均一な高品質を実現することができました。 製造工程の一部をご覧ください。
衝撃でタガネがずれないように、マウスピースを台座でしっかりと固定し彫ります。タガネは0.5ミリを使用しますが、彫っている線は0.3ミリです。素材が欠けやすいため線を一度に彫らず、2、3度彫って少しずつ深みを出していきます。
彫刻を終えたら、サンドブラスト処理をします。全体にまんべんなく艶消しを行い、高級感を与えます。同時に、この処理をすることで倍音が多くなり、より豊かなサウンドになります。
旋盤を使い、マウスピースのシャンクを削ります。旋盤の軸を高回転でさせるので、中心がぶれないよう正確にセットします。最適なシャンクの長さにすると、マウスピースの音程が正確にとれるようになります。
テーブルを1本1本、独自に開発したヤスリで水平に仕上げます。軽く左右均等に力を入れ削っていくことで、テーブルが水平に仕上がります。テーブルのバランスを安定させると息の流れが安定します。この状態でフェイシングの長さなどを合わせます。
特殊な器具を用い、フェイシングの曲線が理想的かどうか1本1本チェックします。 次に、手前と奥のフェイシングカーブ(リードに接しない先端部分の曲線)が対称かつ基準値に沿っているか確認します。これが対称でないと、音の立ち上がりが悪くなります。
特殊な機械でマウスピースのオープニングを1本1本適正であるかチェックし、基準値に満たないマウスピースは音が鳴りづらかったり、吹きにくかったりすることがあるので、調整をかけて基準値に合わせます。
ビンテージは個体差が大きい傾向にありますが、AIZENは職人の手によるハンドフィニッシュにこだわり、さらにデジタル機器を活用して誤差をなくすことで、個体ごとのばらつきを極めて小さくすることに成功しました。もう、マウスピース選びに悩む必要はありません!
多くのメーカーでは、管体の成型は機械で行われています。AIZENでは、手と木槌を使った伝統的なスタイル(=ハンドハンマリング)で行っています。
金属ハンマーだと地金が傷み音に悪影響が出るので、木槌を使います。ハンドハンマリングを入念に行うと、音が豊かになり響きも増し、抵抗感が少なくなります。機械成型より硬度が増し、耐久性も向上します。AIZENでは、ベル、ボディ、U字管すべてをハンドハンマリングしています。
AIZEN | 他社 |
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木槌でのハンドハンマリング | 機械成型 |
○音が豊かに響く | ○品質が均一 |
○抵抗感が少なくなる | ○製造コストが安い |
×製造コストがかかる | ×抵抗感が強くなる |
×音が良くない |
ハンドハンマーで、出来上がったパーツの形状を整形します。
トーンホール引き上げの前に穴を開けます。1つひとつのトーンホールを機械を使って検査し、音程が正しくなるように調整します。
トーンホール引き上げをします。鋳型を正確に作り、1つの管体を機械に通すたびに、管体の内側・外側、機械を磨きます。こうすることで、引き上げ時、内側に傷を作ることなく正確なトーンホールを作ることができます。
トーンホールの表面を水平でなめらかになるよう研磨します。トーンホールが水平でないとタンポの調整が難しく、なめらかになっていないとタンポが破けるなど、後々のトラブルが多くなります。
AIZEN | 他社 |
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○丁寧な研磨と表面仕上 | ×不十分な仕上 |
×コストが高い | ○コストが安い |
トーンホールの表面を水平でなめらかになるよう研磨します。トーンホールが水平でないとタンポの調整が難しく、なめらかになっていないとタンポが破けるなど、後々のトラブルが多くなります。
AIZEN | 他社 |
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プレス方式 | ダイキャスト方式 |
○丈夫で衝撃に強い | ×もろく曲がりやすい |
×鋳型が必要で高コスト | ○低コスト |
キーを特殊な装置で研磨します。すべてのパーツが細部までなめらかな仕上がりになるよう、丹念に表面を研磨しています。AIZENサックスの見た目の美しさ、見栄えのよさは、この研磨にあります。
キーポストの銀ロウ付けを行います。この工程は最も重要で、根気と熟練を要します。すべてのキーの外観が均一になるよう、何度もやり直して仕上げます。
ネックを作ります。わずかな角度の違いでサックスの性格が変わり、ピッチ、音色、抵抗感、吹奏感などすべてに影響が出ます。大手メーカーでは機械成型で作っていますが、AIZENでは熟練の職人が全神経を集中させ、手作業で正しいカーブ、形状のネックに仕上げています。ハンドメイドのネックは、独特の響きと味わい深い音色が出ます。
AIZEN | 他社 |
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熟練職人によるハンドメイド | 水圧による機械成型 |
○豊かな音色 | ○均一な仕上がり |
○響きが増す | ○製造にかかる時間が短い |
×コストが高い | ×響きは良くない |
×優れた職人技が必要 | ×音色は良くない |
×製造にかかる時間が長い |
トーンホール引き上げのあと、表面を化学洗浄液で洗います。バフがけしてなめらかにしたあと、コンプレッサーのエアガンを使ってゴミを取り除き、ラッカーがけを行います。ラッカーをかけたあと、再研磨して表面を均一に仕上げます。
小さなパーツも正確な距離と位置になるようにし、各キーポストの距離を機械で測定します。これにも熟練のわざが必要です。
最近ではコストダウンのため、ヨーロッパの一流メーカーでも機械で彫刻を入れるようになってきました。AIZENでは熟練した彫刻師が、手彫りで彫刻を入れます。一度パターンを彫り始めたらたった一度の誤りも許されないので、全神経を集中させて行います。
AIZEN | 他社 |
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手彫り彫刻 | 機械彫刻 |
○生き生きとした描写 | ×単一で機械的な線 |
○繊細で複雑な線 | ○コストが安い |
×コストが高い | ○高い技術が必要ない |
×熟練の職人技が必要 |
タンポ付け、パーツを組み立てを行います。大手メーカーは短期間で量産し出荷しなければなりません。そのため、組み立ての精度が低く、タンポ付け、調整まで入念にチェックしていないので、結局、楽器を手に入れても、楽器店で全部やり直さなければならない場合が多々あります。AIZENでは、熟練の技術者が1つひとつていねいにバランス調整し、可能な限りやわらかいキータッチでタンポが均等に閉まるようにします。箱から出したらすぐに吹けるような万全の状態で出荷しています。
AIZEN | 他社 |
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○万全の組立、調整 | ○数多く生産できる |
○箱から出したらすぐ吹ける | ○短期間で製造・出荷できる |
×生産数が限られる | ×追加で調整代が必要 |
×製造・出荷に時間がかかる |
AIZENの工場は高知県土佐市にあります。
近くを流れる仁淀川は日本で最も綺麗な水の川と言われています。AIZENは美しい川と豊かな山の恩恵を受けながら製造しています。
マウスピースの材質が音に与える影響は結構馬鹿にできません。 これまで試してわかったことですが、同じ精度の同じ構造のマウスピースでも材質一つで音が全く変わります。
いくら精度が良くても材質が悪いと良い音は生まれませんし、精度が悪くても材質が良ければ良い音がなります。
AIZENは、制度と材質両面において、一切妥協をしません。最高品質をとことん追求します。
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