サックス 本体

サックスにミュートはありますか?


技術が進んだ現在、多くのサックス弱音器が発売されています。効果はそれぞれ異なるようですが、色々な方法でサックスの音を小さくし、マンションやアパートでも練習ができるように工夫されています。しかし金管楽器のミュートのように、劇的に音量を下げたり、また「無音」をシミュレートすることはできません。それは木管楽器であるサックスと、金管楽器の特性の差によるものです。
 金管楽器の「ミュート」は、空気の流れから音の振動を吸収する仕掛けです。管全体の長さを変化させることで音程を作っている金管楽器は、空気の振動から出る「音のエネルギー」を吸収すれば音が小さくなり、ほとんど消してしまうことも可能です。プラクティスミュートというミュートは、吹奏感をあまり変えることなく、音量を小さくします。また、サイレント・ブラスという「電子ミュート」は、外へ出る音量を消し、電子的に生成した「偽の生音」をイヤホンを通して奏者に返します。
究極の消音練習機ですね。しかしサックスは、「管の長さを変えずに、音孔の開閉で共振する周波数を変える」というのが原理です。簡単に言えば、穴を空けたところに音の振動の「節」ができ、それで出る音の音程が変わります。なので、穴のあちこちから空気が出ているので、「音のエネルギー」を消すことが出来ないのです。
 現在流通しているサックスミュートは、「空気量制御」型と「箱を被せてしまう」型の二つです。前者はサックス全体に通る空気の量を制御して、音量を下げようというものです。後者は小さい箱の中でサックスを吹けば、外に音羽漏れないだろう、という方式です。両者のいずれの場合も、吹奏感はかなり変化してしまうので、決して「良い練習環境」とは言い難いです。
あくまで補助的な練習環境です。プロのサックス奏者は、「家で練習するときはピアニッシモで吹くだけだよ。」、と口をそろえておっしゃいます。そうなんです。金管楽器の生のピアニッシモに較べたら、もっと小さいピアニッシモの音がサックスでは練習次第で出すことができるのです。挑戦する価値はあると思います。
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