サックスは確かにヨーロッパで生まれました。しかし、現代ではヨーロッパ製のサックスが一流、という図式は必ずしも成り立ちません。今や進歩した近代的な製造技術で、サックスの製造は世界各地でおこなわれています。
特に中国、台湾、韓国でのサックス製造産業は飛躍的に成長しており、数多くの有名ブランドのサックスはこれらのアジアの工場で生産されています。
工業製品としてサックスを見れば、中国、台湾、韓国の楽器工場の技術のほうが世界的にも高い水準かもしれません。サックスの製造技術の世界分布、…なあんて小難しい話をしてしまいましょう。
工場の生産技術は、導入されている製造機器の性能と作業に携わる「職人の技」のバランスで決まります。となると断然ヨーロッパ有利とお考えになるかもしれませんが、ご存知のように、先端のiPadやiPhoneは総て台湾で生産されています。
機械加工技術はアジアは世界でも相当な高い水準にあります。また、「やはり経験を積んだ職人さんは、アジアにはいないでしょう」、というコメントも的外れです。台湾や中国の楽器メーカーは、既に数十年以上、ヨーロッパの楽器メーカーの製造委託を受けており、サックスの製造にも長い経験を持っています。
それゆえ、技術を持った熟練の職人さんも少なくありません。アジアの楽器メーカーは自社ブランドでの販売より、製造委託による量産を多く手掛けていますので、仕様の異なる設計の楽器を、混在して能率よく生産する工場の設備が出来上がっています。
現在、数多く存在するサックスメーカーの中で、部品の一個一個から総て自社で作っているメーカーは希少です。多かれ少なかれ、アジアの楽器メーカーの技術が生かされています。
今、サックスの生産台数の統計(ブランド別)ではなく、その台数に使用された部品の工場の割合、という統計を取ったら圧倒的にアジアが一位になるはずです。
それだけ管楽器の製造、特にサックスはアジアの工場の技術に頼っています。そして製造委託側として水面下にいた彼ら、アジアの楽器メーカーも、どんどんと自社ブランドを展開し始めています。
H.COUFというヴィンテージの名サックスがありますが、このブランドはフルートで有名なアメリカの楽器メーカー、「アームストロング社」の社長が、自分の名前を付けてサックスのブランドとしました。製造はドイツのカイルベルス社。管体にも「Made by Keilwerth, Germany」と刻印されています。しかしカイルベルス社は部品の製造は中国に依頼していたようです。
アジア製サックス、最高!と言いたいところなのですが、実際、サックスはどこで作っていると言えるかがとても難しいのです。
*写真は全てflickrから掲載しています。
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