ビンテージサックス。古ければ良いの?
「ビンテージサックス」。聞いただけで高そうな響きですね。見た目はサビサビで、塗装もハゲて光沢も無い。知らない人が手に取れば、即、「燃えないごみ」として捨てられそうな金属の塊に、なぜ百万を超える価値があるんでしょうか?
もちろん単に古いからではありません。高額なビンテージサックスは、「その値段を出してでも欲しいひとがいる」から、その値段なのです。現行のサックスは新品がどこでも買えます。しかし50年前に製造が中止されてしまったサックスは、現代まで処分されずに残っているものを探すしか手は無いわけです。もちろん手放さないプレーヤーも沢山います。そのなかから市場に出てくる「出物」は非常に少なく、必然的に価格が高騰するわけですね。
では、どうしてそんなに皆が欲しがる古いサックスが存在するのでしょうか?
よく言われるのが、現代の大量生産による楽器の製作工程と、昔の職人の技による手工業手法との違いです。部品の一点一点が手造りで丁寧に仕上げられています。
また金属の組成(合金の成分の内容や比率)やその経年変化によるサウンドの違いです。昔の楽器は昔の音がする、とよく言われます。また設計のコンセプトが現代の楽器とまったく異なり、かつ技術的にもまた未成熟な部分が独特の「個性」の根源になっています。ま、ぐだぐだ言っても、いっぺん吹いたら・・・「ああ、いい~!これ欲しい!」となるのがビンテージサックスの特徴です。乱暴な理屈ですが・・・。
一般的に「名機」としてゆるぎない人気を持っているのが、1954年から1973年頃まで製造されたセルマーの「Merk VI(マーク・シックス)」ですね。
特にセルマーUSAで再組み立て・調整された、いわゆる「アメセル」は多くのジャズ・プロプレーヤーに使用されており、今でも非常に人気が高い機種です。その他セルマーではスーパーバランスアクションやマークVII、またキングやコーン、ビッシャーといった海外メーカーも人気のビンテージサックスのメーカーです。
ビンテージサックスというと海外のメーカーの物ばかりを想像すると思いますが、日本のヤマハやヤナギサワも歴史を積み重ね、「ビンテージサックス」と呼ばれてしかるべき早期のモデルも存在します。
ヤマハでは旧ニッカン時代の「インペリアル」、また旧62シリーズなどがすでに「中古サックス」の範疇から「ビンテージサックス」の仲間になっています。またヤナギサワでは最初期テナー、Tシリーズや旧エリモナ・シリーズも人気です。
しかし日本製ビンテージサックスの場合は、当時の製造技術が海外のものと比べてかなり劣っているため、仕上がりに非常にバラツキが多く、良品と粗悪品が混在しているのが特徴です。選ぶときは是非注意してください。
最近では「ジャンク(ゴミ)」に近い日本製ビンテージサックスをオークションなどで安く購入し、新品高級サックスが買えるような金額をかけて再組み立て・調整を施し、「あの頃の音」を楽しんでいるプレーヤーも少なくないと聞いています。
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