サックス奏者にとって、リードは大切な相棒であり、かつなかなか言う事を聞いてくれない悩みの種でもあります。上手く鳴っているときには気になりませんが、突然リードが鳴らなくなったり、買ったリードのひと箱のほとんどが鳴らないリードだったりしたら、かなり憂鬱になります。2回に渡ってリードとの付き合い方を整理したいと思います。
開封・選別・調整: ほとんどの場合リードは箱買いで、ひと箱に5枚か10枚入っています。これらを開封し、試奏して選別し、鳴らないものは調整でなんとか使用に耐えられるようにして、実際の本格的な演奏への使用の準備をします。箱からリードを出したら、まず水を入れたコップに5分ほど浸けます。コツプに1/3ほど水を入れ、リードの後方を下にして水に浸けます。水が多すぎるとリードが浮いて、外に飛び出してしまいますので注意してください。リードを湿らせてから試奏すると、初めからリードが本来の鳴り方をしてくれます。乾燥したリードを試奏する場合は、しばらく慣らし吹きをしてからでないと良否の判断は困難です。マウスピースへのセットは、ハンカチなどでリードの表面の水滴を軽く吸い取ってからおこないます。濡れたままだと、滑って装着が上手くいきません。試奏はリードのテストが目的ですので、リードが鳴り易いよう、リガチャーはなるべく後方で締めます。リード選別時のポイントは、「リ ードがどれだけ振動するか?」、「高音域、中音域、低音域で振動にムラが無いか?」、「フラジオと最低音のサブトーンが出るか?」あたりです。選別のお勧めの方法は、良い順に試奏したリードを並べる事です。仮に右を「GOOD」左を「BAD」として、試奏が1枚終わる度に、「さっきのリードより良いか悪いか」を判断して、その右か左に並べます。10枚一回ずつ試奏を終えた時点で、リードは「出来の良い順」 に並びます。そしで次は微妙な中間部の順位付けの再考と、「要調整リード」の選別です。リードの調整と言っても、大幅な調整はどうしようもないリードだけにしましょう。「どうせ捨てるなら、ダメ元でいじってみよう」精神です。「もう一歩」のリードの調整個所はハート(表の中心の盛り上がった場所)、表前方の両サイドです。ここを細かい紙やすりでほんの少し削るだけでリードが鳴るようになる場合があります。紙やすりでなく、指の爪で「押し潰す」だけでも効果がある場合もあります。
このへんは個人の 「加減」ですので、慎重にテクニックを習得していってください。どちらにしろ、「要調整リード」は「そのままでは使用できないリード」ですから、安心して「いじって」ください。。
最近ではリードの乾燥し過ぎを防ぐため、1枚ずつ密封されているリードもありますが、全部封を切ったうえでの同じ試奏・調整作業をお勧めします。練習開始やステージ本番の直前にリードを開封するのは限りなくギャンブルですし、一枚のリードの最初の印象で、使えるリードもダメリードに選別してしまう可能性があります。「リードと向き合う:その2」ではリード番手の選び方や保存方法についてお話します。
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