ネットオークションやネットフリマでは、「ジャンク」と銘打ったサックスが多数出品されています。確かにあっちこっちの部品が欠落し、管体も朽ち果てそうなサビだらけの、「まじジャンク」も少なくありませんが、意外と程度の良い、「直したら吹けるんじゃない?」というサックスも見受けられます。うまくいけば一万円前後でテナーサックスやアルトサックスが手に入ります。職場での昼休み練習用の「置きサックス」のためにもう一本、なんて「有り」だと思いませんか。
ネットオークションやネットフリマの「ジャンク」サックスを見ていくと、本当に年代物の朽ち果てたサックスと、ほとんど使わずに遺棄されていたと思われる廉価版サックスのジャンクの二種に分けられます。錆にまみれた「まじジャンク」を再生することは相当な技術を要しますが、凹みや歪み、些細な故障で見捨てられた入門用廉価版サックス、とくにアルトサックスは再生の可能性が大です。ある程度サックスの機構に対する知識があれば、自力での修理は不可能ではありません。アルトは、とあえて言ったのは、テナーサックスの場合はネックの曲がりや、自重が重いためシャフトや管体へのダメージが大きいので、安物買いの銭失いになる可能性が比較的高いからです。
「まともに音が出ないジャンク」の原因にはいくつかあります。「ネックが本体にはまらない」、「オクターブキーが動かない」、「パッドが欠損」、「部品の歪みや破損」等です。ネックが本体にはまらないのは一見歪みと考えがちですが、「円」というのは意外に歪みに強く、多くの原因は接続部(ソケットとレシーバー)の汚れです。シンナーやジッポオイルを付けた布でネックソケットや本体のレシーバー部をひたすら擦ると、あら不思議、スコンとネックがはまります。オクターブキーの故障は、ほとんどの場合オクターブキー連結機構の「曲がり」です。サックス本体から飛び出たオクターブ連結棒は、ちょっとの衝撃で曲がってしまいます。ラジオペンチやプライヤーを使って、曲がりを強引に修正すればOKです。その際、折れないようにゆっくりと、かつ傷つかないよう当て布をして、を守ってください。ネック側のオクターブキーの円弧の修正が必要な場合もあります。右手人差し指のキーとBis(シ♭)キーの連結機構の小さなコルクが無くなってしまっているだけで、「シの♭が出ない」となっている場合があります。使用中の高級サックスですらこの部分での故障は少なくありません。この機構は調整ネジの押し込み、調整ネジの先端、それを受けるレバーのコルクで構成されています。ネジの頭を塩ビチューブで延長したり、レバーに薄くコルクを貼つたりするだけで治ります。
パッドの欠損はパッドを入手する必要があります。トーンホールの凹みや歪みは特殊治具が無ければ直せません。シャフトの固着も難題です。でも一万円前後でセカンド楽器が手に入れば…。魅力的ですよね。賭けてみますか?
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