ジェイク・コンセプション(1936年1月13日~2017年12月4日、本名ジェイク・ヘルナンデス・コンセプション)はフィリピン出身のサックス奏者で、アジア諸国で「キング・オブ・サックス」と称されました。多くのサックス奏者にとってあこがれの先輩であり、ヒーローなんてすが、若い方々には意外と名前が知られていないようです。うーん、ならば奥の手。「スイートメモリー(松田聖子)」、「お嫁サンバ(郷ひろみ)」、「ヤングマン(西條秀樹)」、「北の宿から(都はるみ)」、「ギンギラギンにさりげなく(近藤真彦)」、「時をかける少女(松任谷由美)」など等、昭和の輝けるヒット曲たち。これら全部、ジェイクが吹いています。
19歳からプロキャリアをスタートさせ、1964年、23歳の時に単身来日。1970年代・80年代にスタジオ・ミュージシャンとして、歌謡曲からロック、ジャズ、フォーク、ポップスとジャンルを超えて活躍しました。歌謡曲全盛の時代、70年代から80年代にかけて、ヒット曲のほとんどでのサックスをジェイクひとりで吹いていたのではないかと言われています。 70年代に新しく台頭してきた「ニューミュージック」の高度なサウンド重視の傾向は、歌謡曲のジャンルにまで及び、レコーディングやコンサートにおける編曲のレベルが格段に上がりました。それにともなって、ミュージシャンにはそれまで以上に高い演奏技術が求められ、腕の立つスタジオ・ミュージシャンに仕事が集中しました。そんな時代にとりわけ引っ張りだこになったのが、フィリピン生まれのジェイク・コンセプションだったのです。西洋的な乾いた力強さでもなく、日本的な湿った哀愁とも違う、独特のあたたかさを持ったヌケの良い明るいサウンドで、メロディアスで切れのいいフレーズを、アドリブで苦もなく奏でてくれるジェイクは、まさに時代のサックス奏者でした。1980年代当時、ジャズアルトサックスのレジェンド、渡辺貞夫氏は、「今、日本で吹いているサックスプレイヤーでジェイクに勝てるミュージシャンはいないね。あいつは凄いよ。なんでも吹けるからね。僕もかなわない」、と言っています。
ジェイク・コンセプションはマウスピースのリフェースや製作にも造詣が深く、数多くの 「Jake」ブランドのマウスピースを世に送り出しました。EMSをベースにしたリフェースモデルや、クリスタルアクリルを使った透明な「Jake」マウスピースが有名です。すべて彼自らの手によるハンドメイドで、ジェイクのサウンドを彷彿する、まろやかなのに切れ味の良い、芯の太いサウンドが特徴です。新規個体が出ない今、中古市場でも高値で流通しているようです。
まさに時代の一部を創ったサックス奏者、ジェイク・コンセプション。あなたの手持ちの古いレコードやCDのライナーノーツの中に、彼の名前を見つける事が出来るかもしれません。
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