音楽をするものには必須の「譜面」。今日はその「めくり」に特化してみたいと思います。クラッシックのピアノ奏者には、「譜面めくり係」が付き演奏中譜面をめくってくれます。ピアニストの傍らに立ち、演奏の進捗を確認し、演奏者が望むようなタイミングで楽譜のページをめくってくれます。こんな親切な制度があるのはピアニストだけで、我々サックス奏者には望むべくもありません。いや、ピアニストが天国の例だとしたら、地獄の例はベーシストかもしれません。曲の初めから終わりまで、ほとんど両手を休める事のないパートなのに、譜面は数ページにわたる勧進帳(長い譜面をこう呼びます。歌舞伎の演目で弁慶が長い手紙を朗々と読むところからきています)の譜面です。譜面台を何本も横に並べて、何ページも広げられるようにするのは一般的ですが、ほんの瞬間の休みを使って(無理に休んでしまい)、競技百人一首のような手さばきで譜面をめくるベーシストも少なくありません。
我々サックス奏者の譜面めくりは、曲のアレンジによって運・不運が決まります。フレーズが長く、譜面めくりのタイミングが無い場合、いくつかの方法で窮地を回避します。その第一が「書き換え」です。譜面全体や一部を書き換えて、長休符のときに譜面をめくれるようなページ構成に書き換える訳です。書き換えまではしなくとも、同じページを2枚作り、長いフレーズが始める前に譜面をめくり、長いフレーズを最後まで左右見開きの中に収めることが出来る場合もあります。大胆な性格の奏者の場合、譜面のページを「切り張り」してしまうこともあるようです。各ページの高さが違う譜面を、平然と吹く姿には頭が下がります(笑)。
譜面の各ページをテープでつなぎ、蛇腹状の一冊に綴るのが一般的な長尺譜面の姿ですが、今ではクリアフォルダーという便利なものも使えます。透明なフォルダが本のように綴られているので、譜面の各ページをフォルダに入れるだけでテープ留めの必要はありません。フォルダの上から紙を挿入するのが一般的ですが、楽譜の収納には「綴じ代方向から入れるタイプ」が便利です。これはフォルダを開いた状態で、左右ページの真ん中から紙を入れるようになっているクリアフォルダーです。 A4サイズレイアウトが2ページ見開きでA3用紙に印刷されている譜面がほとんどなので、このタイプのクリアフォルダーなら、譜面を切らずにそのままフォルダにセットすることが出来ます。
どんな工夫をやるかに関わらず、「譜面めくり」には「リハーサル」と「検討」が重要です。譜面を頭から追って行き、「ここは休めないから、この前でページをめくっておく」とか、「2ページにまたがるフレーズは見開きにしておく」とかの作戦を完成させてから譜面を改造しましょう。譜面めくりをないがしろにしていると、ある場所でバンドの音がスカスカになる、なんて事になりますのでご注意を。
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