サックスの運指の練習に「クロスフィンガリング」という課題があります。ファと右手中指ファ#、左手のシとド等の指の動きで、指が「順番」に開いて行ったり、閉じて行ったりするサックスの基本的な運指に対し、「指が交差する」という意味でクロスフィンガリングと呼ばれています。ま、普通よりちょっと難しい指の動きです。
「クロスフィンガリングが滑らかにできません!」というお悩みに対しては、「練習あるのみ!」としか答えようがないのですが、「シ・ド・シ・ド・シ・ド・シ・ド」や「ファ・ファ#・ファ・ファ#・ファ・ファ#・ファ・ファ#」などと「単独クロス往復運指」の練習を繰り返す方が多いようです。この練習は「特殊な動きを指に覚え込ませる」という意味では間違いではないのですが、滑らかなフレーズを目指すには、前後の音を含めた「スケール上下の運指練習」をお勧めします。例えば下のラから真ん中のミまで半音のスケールで上下しましょう。シ♭を右手人差し指でやるかパームキーでやるかは自由ですが、このスケールは結構難しい指使いが出てきます。ミ♭→ミ→ミ♭なんて運指はなかなか手強いです。ラ・シ♭・シ・ド・ド#・レ・ミ♭・ミの8音を上がったり下がったり、均一なタイミングと音の長さで連続演奏するのは、とても良い練習になります。クロスフィンガリングの練習は、その運指を含めたブロックスケールで練習すると、より早く曲への応用が出来ると思います。
「レ→ミ♭→ミ」や「ソ→ソ#→ラ」もクロスフィンガリングです。通常の生活では、小指はそんなに動かすことはありません。それゆえ、小指の絡んだフィンガリングは結構な難関となります。「小指」は意志によるコントロールの精度が他の指より劣りますので、小指がからんだクロスフィンガリングのスケール練習と合わせて、小指単独コントロールの練習をするのもお勧めです。手のひらを軽く開き、机の上に五本の指の先端を軽く接触させます。その状態で小指だけを左右に動かします。机に触ったまま左右に「スライド」させるのではなく、一旦浮かせて動かします。浮かす・右・浮かす・左・浮かす・右、という動きです。初めはゆっくりから、次第にテンポを上げていき、250くらいのテンポまでは楽々クリアできるようになりたいですね。
サックスを演奏するための指の動きは、決して日常的な指の動きではありません。なので、少しでも長い時間サックスに触れ、サックスの運指を自分の身体に「日常」として覚え込ませることが重要です。またサックスの運指には多くの「替え指」がありますので、実際のフレーズの演奏を「どの運指でおこなうか」を検討することが出来ます。ちょっと考えただけで、劇的にフレーズの運指が楽になったりもします。また「奏者の意識」と「指」は密接に関係していますので、「難しくても苦手ではない運指」のようなものが人によってあるようです。死ぬほど練習したうえで、ちょっと考える。これがスムースな運指を実現する秘訣です。
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