サックスは何故かうるさいとよく言われます。金管楽器にはミュートが使用できますが、サックスはその原理と構造上、高効率な弱音器は存在しません。いくつかの「サックス用ミュート」が製品化されていますが、トランペットのプラクティスミュート(練習用弱音器。他のミュートは音質を変える事が目的ですが、これは吹奏感を損なわずに、音を小さくすることが目的のミュートです)に比べたら、弱音の効果には雲泥の差があります。
サックスは何故うるさいのでしょう。結論から言ってしまえば、発明者のアドルフ・サックスが「大きな音の楽器を作りたかった」からに他なりません。クラリネット等の木管楽器の高い操作性を持ち、金管楽器のダイナミックレンジの広さを兼ね備えた新しい楽器として、アドルフ・サックスはサックスいやサキソフォンを考え出したのです。彼の優れたアイデアによって、サックスは洗練された運指、発音の容易さでは、他の管楽器に類を見ない楽器となりました。ということで、「うるさい」という意味では宿命を背負ったサックスですが、ビッグバンドでも吹奏楽でも、「あ~!サックス隊、うるさい!」という言葉は聞いても、「ラッパ隊、うるさいよ。」というのはあまり聞きません。何故でしょう。その原因は、サックスが小さい音を出すのが難しい楽器だからです。
金管楽器の音の源泉は奏者の唇です。自分の身体なので奏者は責任を持ってコントロールしています(かな?)。フルートの音の源はリッププレートの上に発生した空気の渦です。オーボエ等のダブルリード楽器のリードは細長いストローを潰したような形状です。で、サックスの音の源泉、リードの大きさはどうでしょう。大きいですね、広いですね。リードの面積はクラリネットも同様かもしれませんが、クラリネットとは本体の大きさや材質が違います。しかも管体が円錐状に広がっています。ね、サックスはどうやっても大きい音が出るんです。そして大きい音が出し易い分、小さい音が出し難いのです。アルトでもテナーでも、どんな種類のサックスでも、ピアニッシモの小さな音を出すにはかなりの技術が必要です。 「うるさいサックス隊」の原因が見えてきましたね。そう、彼らのほとんどは「下手なサックス隊」なのです(ごめんなさい!)。サックスの場合、小さな音が出せないという事は、楽器をコントロールできていないという事です。コントロールできていない音は、当然きれいな音にはなりません。だから音が大きく、汚い音で周りをイライラさせるのです。しかも注意されて気が付いても、彼らは小さい音を出すことが出来ません。それで余計周りをイラつかせます。そして、「サックスはうるさい」という「デマ」が広がるのです。
サックス奏者は、ピアニッシモからフォルテッシモまでの音量のコントロールが出来るようになってから、人前で楽器を吹いたほうが良いのではないかと思います。それが「うるさい!」と言われないための秘訣です。うーん、分かっちゃいるけどキツイ結論ですね。(苦笑)
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