サックス奏者が絶対に起こってほしくない事故は、「自分のサックスが車に轢かれてペシャンコになる」でしょうか(?)。その次位のレベル(?)のアクシデントが、「サックスの盗難」でしょう。決して遭遇したくない、このアクシデントについて考えましょう。
冒頭から怖いことを話すようで恐縮ですが、皆さんはリハーサルスタジオやカラオケ店で個人練習をするとき、自分のサックスやその周りの物の「盗難」に注意を払っていますか?さすがにサックス本体の「置き引き」の話しはあまり聞きませんが、マウスピースやメトロノーム、チューナーや録音機の盗難は、決して珍しい話ではありません。一般的にスタジオやカラオケ店の個室には鍵は着いていません。あなたがトイレに行った時、一服しに喫煙室に行ってる間、ロビーでコーヒー休憩しながらスマホでメールを打っているとき、あなたのサックスもマウスピースも、すべての持ち物は「無防備」なのです。部屋がいくつもある大きなスタジオやカラオケ店では、あなたの「留守」を見計らって、不届き者がこっそり部屋に入っても、誰にも見とがめられない確率は高いでしょう。昔は「スタジオ荒らし」は決して珍しくなく、利用者は細心の注意を払っていました。監視カメラが発達した現代でも、その手の悪行は無くなりはしないようですし、たとえ犯人を特定できる手段があっても、そこまでお店側か対応してくれるかの問題もあります。練習個室を離れるときは、大事なものは身に着けて出て行くか、分かり難いようにケースや大きなカバンの中に仕舞っておくのが得策です。
サックスを電車の網棚に置き忘れて、後で気が付いたが出てこなかった。駐車場で車上荒らしにあい、トランクに入れておいたサックスが盗られた。野外ライブに出演し、バンド用の楽器置き場に置いておいた楽器が、いつの間にか無くなった。など等。みんな、「有り得る」悲しい話です。楽器が盗難にあったら、当然警察に盗難届を出します。楽器のシリアル番号は重要な情報です。写真や形状の特徴、モデル名、ケースのメーカー等も役に立ちます。とはいえ警察もあなたのサックスの為だけに仕事をしてくれるわけではありません。近隣の質屋さんや中古楽器買取りの店に情報を提供し、その楽器が持ち込まれたら連絡を欲しい旨お願いをしておくのも良いでしょう。SNSで情報を拡散するのも最近の常とう手段です。楽器保険も各損保保険会社が扱っていますが、保険料が出てもあなたのサックスは戻りません。ましてやヴィンテージサックスの場合は、保険会社からお金をもらっても、もうどうにもなるものではありません。保険金で同等品は買えても、あなたが吹いていたあの楽器ではないのですから。
所有する楽器が盗難にあえば、それは身を切られるほどの辛さでしょう。まずは絶対に目を離さない。目を離すときには絶対に取られない、チェーンロックやアラーム等の工夫をする。シリアル番号の控えや写真など、盗難届の際の資料の準備をしておく。今日の話しを聞いて、少しでも注意していただければ幸いです。
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