サックスのケースの選び方については、「ええ?また!」と言われるくらい何度もここで紹介してきました。過去の記事はかなり一般常識的なものが多かったので、今回は、「めっちゃ細かいケース選び」にこだわってみましょう。
サックスケースはあなたのサックスが入ることが最低条件です。ただし、「正しく、適正に入る」必要があります。まずは「必要な隙間があるか」を調べる為にハンカチを使いましょう。パームキー、左手小指キー等、ケースに当たりそうな部分のケース側にハンカチを四つ折りほどにして敷き、サックスを納めます。で、ハンカチを引っ張ります。キーがケース内部に当たっていれば、ハンカチは引っ掛かって出てきません。スルッと出てきたら合格です。「そんな、細かい!」と嘲笑しているあなた、サックスのキーがケース内部に当たっているケース(シャレではありません)は意外に少なくないのです。このチェックをしておかないと、サックスをそのケース入れているだけで、キーバランスが狂ってしまいます。「当たり」のチェックの後は「緩み」のチェックです。くだんのケースにあなたのサックスを収納し、チャックなりバックルなりを閉めてロックします。ケースごと抱きしめて、ケースの一部に耳を付け、身体を左右に傾けます。ケースを逆さに持ったり、横にしたりも試してください。そこで、「ゴトッ」とか「ズズッ」とかの音がしたら、ケースとサックスの間に不要な隙間がある証拠です。疑わしい場所にタオルやクロスを挟んで、隙間がうまく無くなればそれで良し、なかなか治らないようなら、そのケースはあなたのサックスとは相性が悪い、ということで諦めたほうが良いでしょう。
ここまでの試験に合格したら、次は耐久性です。近年のサックスケース内部は様々な加工でサックス本体への傷を防いでいますが、一番耐久性が弱いのがウレタンへの起毛塗装です。ウレタンに細かい繊維を植え付けて滑らかな素材感にする処理ですが、処理の方法によって剥がれ易くなる場合があります。ケース内部を隅から隅まで舐める様に確認し、少しでも塗装が剥がれているところがあれば、その場所の状態を確認してください。起毛の密度が低ければ、サックスと擦れる部分が早晩剥げてきます。剥げ易そうか、そうでないかを確認してください。舐める様に顔をケース内部に近づけていると、ケースの匂いも分かります。ケース内部には色々な接着剤が使われているので、有機溶剤の匂いがするはずです。気が付くか気が付かないか程度の匂いなら合格、「ツーン」と匂って来たなら同じモデルの別のケースと比べてみましょう。なるべく匂いが少ないほうが良いのですが、ケースを買った後、蓋を開けたまま陰干しすれば取れる場合もあります。ただし、かなり頑固な匂いもたまにあるので要注意です。有機溶剤の匂いでなく、カビ系の匂いがしたら購入は勧めません。
サックスを収納した状態でのケースのバランスも大事です。太めの紐で吊るのが一番ですが、力に自信があれば指一本でも大丈夫です。色んな形態でのバランスをチェックして、変なバランスにならないかを確認しましょう。バランスの悪いケースは、持っていてとても疲れます。是非こだわってください。
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