かつては「贅沢品(?)」だったサックススタンドも、最近では価格も安く、かつサイズもコンパクトになり、プロ・アマを問わず多くのサックス奏者が使用するようになっています。ただし、そのスタンドの普及ゆえの、「サックススタンド絡みの事故」も多く聞くようになっています。サックスをスタンド事故から守る、「スタンドさばきのコツ」を紹介します。
スタンドさばきの原点は「スタンド選び」でしょう。やはり重量のあるスタンドは安定していますし、丈夫です。小型軽量のスタンドはそれなりのリスクを持っていると考えて良いでしょう。またサックスをセットした状態でのスタンドの「重心」も重要です。全体の重心がなるべく低く、床に近づくほど安全なスタンドと考えられます。セットしたサックスの最下部が床から数センチしか離れていない場合と、10センチ以上離れている場合を較べたら、サックスがスタンドごと倒れた際のダメージは、両者で格段の差があります。軽くてコンパクトで、持ち運びしやすいサックススタンドは、楽器に自分の目がしっかり届く練習時用。大勢の人が動き回る本番のステージ上では、重く頑丈で倒れにくいスタンド、と状況によってスタンドを使い分けるサックス奏者は数多くいます。
サックスのスタンドはバリトン、テナー、アルト用では「U字」型のベルレシーバーで支える物がほとんどです。畳むと小さくなるコンパクトスタンドでも、何らかの機構で同じようにベルを挟みます。サックスをスタンドに置く際、一番気を付けなければならないのがこの「U字」にベルを引っ掛けるときです。スタンド事故のトップは「ペルがスタンドから外れてサックスが転倒」ですし、2番目は「引っ掛け方が十分ではなく、全体のバランスが崩れて、サックスがスタンドごと倒れる」です。まずベルレシーバーにはサックスを「引っ掛ける」のではなく、しっかりと「置き」ましょう。軽く押し込むぐらいが良いと思います。そしてその際にサックスの下部中心が、しっかりスタンドの中心と一致していることを確認しましょう。多くのスタンドがベルレシーバーとその下のガイド(U字管あたりが接触する部分)の3点でサックスを支えるようになっています。この下の部分がちゃんとサックスを支えていないと、サックスの転落の原因になります。「サックスをスタンドに置く」→「スタンド下部の中心を確認」→「サックスを軽く押して安定させる」、というのがスタンドセットの基本ルーティーンです。
ストレートソプラノサックスやフルート用の「差し込み型」のスタンドでは、足の長さと本数がポイントとなります。円錐形や棒状のレシーバーを支える「足」が硬くて長くて多いほどスタンドは安定します。短くて柔らかい脚は危険です。また3本足、4本足の場合は楽器と一体になった時の「全体の長さ」との関係が重要です。足が長ければ不用意に引っ掛けてしまう事故も多くなりそうですし、逆に足が短くて簡単に倒れてしまっても困ります。この種類のスタンドは、見栄えやコンパクトさだけでなく、自分の楽器を装着してみたうえで選ぶのが良いでしょう。
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