楽器の演奏は、ほとんどの場合が「合奏」です。もちろんソロ演奏も無い訳ではありませんが、多くのアマチュアサックス奏者は、何らかの異種・同種の楽器との合奏による演奏が主体だと思います。「練習」というとまずは個人練習ですが、アンサンブル練習、グループ練習もとても重要な練習です。
ビッグバンドやブラスバンドのパート練習、サックスアンサンブルのグループ練習では、メンバーが車座になって音を出す風景を良く目にします。しかしこの「車座」、練習目的に応じて違う並びで練習することも必要です。お互いの音を平等に聴き合い、自分と他人の音やタイミングの違いを見つけ出し、互いに指摘し合うためには、車座の練習はとても効果があります。しかし本番のステージで車座になって演奏する事はあり得ません。ある時点で「本番の並び方」で練習をしなければ、本当の意味でのグループ練習にはなりません。「並ぶ」と隣の人の音ばかりが聞こえます。その向こうの人の音は小さく、そのまた向こうの人の音はほとんど聞こえないかもしれません。その状態で快適に演奏出来て、初めて本番のための練習になります。本番の並び方の練習では、聴衆役の聞き手が必要です。しっかりとアンサンブルの出来・不出来、改善すべき点を指摘してくれるひとがいれば最高です。そんなひとがいなければ録音です。
スピーカー付きの録音機で、演奏&録音→プレイバック→改善点の議論→練習→演奏&録音、というサイクルを繰り返します。またサックスはベルの向きで音の方向が大きく変わるので、本番の並びでメンバー全員が快適に音を聴き合えるような、ペルの構え方を研究するのも良いと思います。パート練習の必殺技に「トップ&サイド練習」があります。リード奏者(ビッグバンドならリードアルト、その他の編成ならトップパート)と各サイド奏者が1対1で練習演奏するのです。アーティキュレーションがトップと合っているか、どう違うか、どこが着いてこられないか、止めや延ばしがあっているか、など等をグループのリード奏者と誤魔化しの出来ない状況で合わせるのです。きついです。でも、もの凄く進歩が期待できる練習です。
正直なところ、理想論だけでは音楽は出来ません。パート練習、アンサンブル練習では誤魔化し方を考えることも重要です。曲やフレーズには「合わせどころ」が必ず有ります。「3小節目の2拍目の頭と7小節目の4拍目の裏」等、ここさえ合わせれば何とかなる、失速してもここだけは絶対に合わせる、というポイントを「談合」して決めるのです。場合によっては、「おまえ、ここ吹くな!」なんて「議決」もあるかもしれません。
音楽は瞬間の芸術です。どんな手を使っても、観客が感動する瞬間を届けられれば、それが正解です。あ、誤解しないでください。もちろんグループ練習は、皆で向上するのが目的です。しかしかばい合ったり、全体での解決策を議論したりするのもグループ練習です。ここが絶対に個人練習では出来ない事なんです。グループ練習を楽しんでください。
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