サックスを首から下げるためのストラップには、さまざまな種類やデザインのものがあります。ストラップの機能としての条件をあげるならば、重いサックスをぶら下げても「切れない」、「首が痛くならない」、「長さの調節が容易」、というところでしょうか。いや、「調節した長さが変わらない」、という大事な条件もありました。
良いサックスストラップの条件は数多くありますが、かなり重要な条件が、この、「一旦長さを調節したら、簡単に伸びてこない」、という事ではないでしょうか。サックスの演奏中、奏者は結構サックスを揺らしています。質の悪いストラップを使っていると、この動きやサックスの重量そのもので、ストラップが演奏中に伸びて来てしまいます。ストラップの長さが伸びてくると、サックスが下に下がります。マウスピースを唾える角度が変わります。息の角度も変わります。ひどく伸びればサックスをまともに吹けなくなる場合だってあります。このようなアクシデントが頻繁に発生し、いちいち演奏の合間にストラップの長さを調整する羽目になったら、安心して演奏に集中できません。ストラップの長さの安定性はとても重要です。
ストラップの長さの安定度は、アジャスター機構の能力によって決まります。ストラップのアジャスター部は「長さを変えるときには軽く滑り、演奏中は全く滑らない」という、かなり無茶な要求に応えなければなりません。ストラップに重量(引っ張る力)が掛かっていないときにはアジャスターはスルスルと移動して長さ調節が出来、一旦サックスを吊って重量がかかれば、アジャスターはぴくりとも動かず、ストラップの長さは変わらない、というのが理想です。紐やベルトなど、ストラップの材質は色々ありますが、テンション(張力)が無ければゆるゆる、テンションがかかれば摩擦でギチギチ、という条件は共通です。
この条件は、実は紐式のストラップのほうが簡単な機構で実現できます。金属プレートに穴を開け、紐を特殊なルートで通せば、紐同志、また紐とプレートとの大きな摩擦を簡単に作り出すことが出来ます。そんな理由からか、最近は紐式のストラップの人気が高いようです。ただし、この摩擦力は紐の太さや材質による表面の摩擦に影響されます。自分で紐を交換する場合は太さや材質に注意してください。ベルト式でも良いアジャスター機構を備えたストラップも沢山あります。
しかしあるストラップメーカーは、見た目はまったく同じなのですが、アジャスターの内部構造をある時期から変えてしまいました。こだわりのサックスプレーヤーの中には、そのメーカーの昔のモデルのほうが「長さが変わらない」と言って、昔の製品しか使わないひとたちもいます。さすがサックス奏者。ストラップにも「ヴィンテージ嗜好」があるんですね。そうそう、「とほほ」なストラップでも、書類を挟むクリップを使えば、長さをぴったり固定できる場合もありますので、お困りの場合は試してみてください。
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