サックス 本体

サックスの彫刻

*今日はサックスの彫刻の話しをしましょう。どうやって彫るか、何故彫るか、彫るとどうなるのか、など等、意外と知られていないようです。サックスの「刺青」とも言われる管体彫刻の「へえ~!」なネタです。
 管楽器の彫刻は何故するのか。簡単です、「綺麗だから」です。どんな楽器も美しい音を奏でるというその特質から、楽器そのもの自体も美しくあることを望まれました。近代の我々は電子・電気楽器の台頭で、楽器自身の美しさについて無頓着になってしまっている感は否めませんが、かつて楽器は高度な工芸品であり、絶対的な美しさが求められていました。サックスも彫刻入りは彫刻無しより、価格も高く設定されています。また「ピカピカ・ツルツル」な表面を多く持つ管楽器では、傷や汚れ、サビなどの表面劣化を目立たなくするという意味心有るようです。しかし良く言われる、「楽器管体の振動特性を変化させ、音色を変える」というような効果は、科学的には「?」なようです。
 管楽器彫刻の方法には、職人による手彫りとレーザー彫刻の二種類があります。レーザー彫刻はその名の通り、コンピュータ制御されたレーザー照射機が、管体に微細な傷を焼き付けておこないます。プログラムされたパターンが寸分の狂いもなく刻印されますが、主流はいまだに、職人の味が出る「手彫り彫刻」です。手彫り彫刻の道具は幅1~2ミリの彫刻平刀(ひらとう)です。この刃物を左右に細かく捻っていき、管体の上を「右、左、右、左…」と刃の左右を交互に進めながらジグザグの線を描いて行きます。サックスの彫刻を良く見ると、どんな細かい線も一本の直線・曲線ではなく、「W」が縦に連続したギザギザ線によって模様が描かれています。彫刻刀は非常に細く浅く、塗装面のみに傷を付けていきますが、それをジグザグの線にすることで、「模様を構成する目立つ線」になります。ジグザグ線の太さは彫刻刀の幅を変えて表現します。線の濃さはジグザグ線の波の密度で調整されます。このように管楽器の彫刻には高度な技術と芸術的センスが必要とされるため、一流と呼ばれる彫刻職人の数は決して多くないようです。真偽は定かではありませんが、数十年前に米国セルマー社のサックス彫刻の専属の職人さんが亡くなり、ある期間「彫刻なしモデル」しか生産されなかった、という逸話もあります。
 サックスの彫刻には花やツタ等の植物系やリボン等の柔らかいカーブの図柄が多いようですが、変わり種としては、ヴィンテージコーンの「Naked Lady(裸の女性)」や、建物や船などもあるようです。ヅインテージのアメセルとフラセルの見分け方のひとつで、フレンチセルマーは花のつぽみで、同時代のアメリカンセルマーは花が咲いている図案、というのも有名な話ですね。ほとんどのサックスの彫刻はベル部のみですが、ネックやキーカップにまで彫刻を施した、「特殊彫刻モデル」も数多く存在します。一部のサックスプレーヤーはこのようなモデルを「バリ刻」と呼んだりしています。「バリバリに彫刻したモデル」という意味なんでしょうか?
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