サックス本体の次に大事な存在、マウスピース。いや、マウスピースが無ければサックスは音が出ませんから、実はサックス本体よりも重要かもしれません。あなたのサックスのサウンドの特徴も、フレーズのコントロールも、また楽器の吹き易さもマウスピース次第です。マウスピースに関する「細かい注意点」についてお話しします。
ポップス系、ジャズ系のサックス奏者の中には、マウスピースの「状態」に関して無頓着な方が少なくないような気がします。演奏した後は、サックス本体にスワブを通して水分を取り、マウスピースの中にも小型のスワブを通して、「お手入れおしまい!」、ってパターンです。このパターンのサックス奏者は多いですよね。それどころか、「何にもしないでケースに収納!」、なんて超ズボラサックスプレーヤーだって少なくありません。このような演奏後のお手入れでは、マウスピースの周りに唾液のタンパク成分がこびり付き、それが積層していき、和菓子の「きんつば(あんこの周りを小麦粉の衣を塗って焼いたもの。分かるかなあ?)」のようになってしまっています。「いやあ、自分以外吹かないし、音にも関係しないから良いでしょ。」、という言い分が多いようですが、マウスピースの汚れは、実はサウンドの質に対して決して無関係ではありません。
ちょっと話を別の視に移しましょう。マウスピースパッチです。マウスピースに歯形が着くのを防いだり、前歯に伝わる振動を抑えるために、マウスピースの歯が当たる部分に貼るシールです。クッション性や歯の滑り具合などから、厚いもの薄いもの、硬いものソフトなものと、数多くの種類が出回っており、奏者によって好みが分かれるようです。このマウスピースパッチによって、吹くときの奏者の感覚だけでなく、サックスから出てくるサウンドも変わることをご存知でしょうか?厚手で面積の広いマウスピースパッチを貼った場合のサックスのサウンドと、マウスピースに何も貼らない場合とを較べると、パッチを貼った音はわずかに「輪郭の甘い音」に感じると思います。その理由は、マウスピースパッチがマウスピースの振動を吸収する、「吸音材」になってしまっているからです。サックスのサウンドの源泉の振動を作り出すマウスピースですので、ちょっとした事でもサックスのサウンドに影響が出てしまう訳です。
話をマウスピースの汚れに戻しましょう。もうお分かりですね。こびり付いたタンパク汚れやメタルマウスピースの「サビ」は、マウスピースにパッチをべたべたと貼りまくっているのと同じことです。この汚れによって、サウンドが「眠く」なります。また経年変化で素材が劣化したもの、落として内部に見えない傷があるもの、などなどマウスピースの振動を本来のものから変化させてしまいます。高品質なエボナイト(ハードラバー)は経年変化が少ないようですが、安価なもの、アクリル系樹脂等は数年で「寿命が来る」とも言われています。マウスピースは大切に扱ってくださいね。
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