アドリブの練習方法を聞かれて、誰もがまず返す回答が、「スケールの練習」です。
ちょっと厳しい人はメジャー12キー、マイナー12キーの24通りのスケールを楽器の全部のキーを使って滑らかに吹けるようになりなさい、と言います。ちょっと甘い先生は、「フラットとシャープが三つまでのスケールが吹ければ良いんじゃない?マイナー?いいよ別に。」と仰るかもしれません。
Cメジャーのスケールに加えて、F、B♭、E♭、A、D、Gの七つのスケールが出来れば十分ということです。実際、フュージョンもしくはロック系のバンドで吹いていない限り、シャープやフラットが4つ以上出てくる譜面に遭遇することは非常に少ないと思います。ギター主体で作った曲はキーがAやDやGが多いので、勢いサックスではシャープが五つ六つ付いちゃうことは珍しくありません。
スケールの練習は何の役に立つのか?楽器のキーを変えることができるようになるからです。音楽のすべてのキーは、「単なる平行移動」です。別の言葉を使えば、「ドの位置が変わっただけ」です。
テナーサックスで「ド、ミ、ソ」と吹くと、実音は、「シ♭、レ、ファ」の音が出ています。テナーサックスがB♭楽器だからです。音楽理論は調性の変化に対しては単なる平行移動なので、どんなキーであろうと、音名(絶対的な音の高さ)は異なっても、階名(主音に対する相対的な音の高さ)は変わりません。
例えば、アドリブで多用できるペンタトニックは、ド、レ、ミ、ソ、ラの音からなり、どんなキーでもこのドレミソラです。あ、スケールの練習の時には、各キーで「ドレミ」の相対階名で考えてくださいね。そうでないと、「相対音感」の訓練になりません。
ということで、12キーのスケールをそれぞれドレミで吹ければ、メジャーセブンでもマイナーセブンでも、オーギュメントでも怖くないわけです。そう考えると、コードの組み合わせは思ったよりもうんと少ないんですよ。
とにかく、サックスを演奏するのが楽しくなります。疲れないので練習に集中できますし、良い音が鳴るので、ロングトーンさえも心地よく楽しいです。
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