まだちょっと早い気もしますがもうじきクリスマスです(か?)。クリスマスにはクリスマスツリーが付き物ですが、このツリーを見るといつも、遠い昔に尊敬するリペアマンさんに言われたことを思い出します。「木管楽器はこのクリスマスツリーなんだ。だから上下に揺らしたらいけないんだよ!「は?なんのこっちや。」の話しです。
サックスの構造を極限まで簡略化すると、パイプの周りに何本かのバーが平行に沿って配置され、そのバーから垂直に生えた枝の先にトーンホールを塞ぐキーカップが付いている、なんて構造になります。フルートもクラリネットも、ほとんどの木管楽器がこの構造です。で、クリスマスツリーです。真ん中の太い幹から沢山の枝が生えています。枝の先にはサンタやら銀のボールやら、トナカイなどの「飾り」がぶら下がっています。このクリスマスツリーの幹を持って、上下に揺すったらどうなるでしょう。中心の幹の上下動が些細なものでも、枝の先は大きく揺れます。ぶわんぶわんと揺れ続けます。これが、「幹と枝とおもりの原則」です。この原則をサックスに当てはめて考える訳です。
あなたは自分のサックスをケースに入れて運んでいます。今流行のリュック型パックケースで、中のサックスは縦になっています。あなたが歩けばケースも揺れる、そして中のサックスも上下に揺れます。その揺れはシャフトから伸びたアームとその先のキーカップを揺らします。キーカップはトーンホールを塞ぐために、ある程度の大きさの金属のお皿とパッドです。
この先端のおもりの重さは、アームの長さが長い程テコの原理で増幅されます。サックスが少し上下に揺れただけでも、極端に考えればキーカップの先端は「ゆっさゆっさ」と上下に揺れ、それを支えるアームはグイグイとしなっているのです。そんな揺れが続けば、トーンホールをぴったりと塞ぐように調整されたパッドの位置は、ずれてしまうのが当たり前です。このクリスマスツリーの法則(?)に則って、「フルートを縦にして運ぶな」という指導者やリペアマン、専門家は少なくありません。
しかし現実問題、サックス族のアームは強靭ですので、「サックスを縦にして揺らすな」というひとはあまりいませんが、こんな話を聞いた皆さんはもう心配になっていますよね。(笑)
そんな心配を一掃するのがキークランプです。サックスのキーを全部塞いだ状態に固定する、「移動時のサックスダメージ回避用品」です。サックスを持って移動する際、特に揺れが続くときには、サックスのキーをキークランプで固定しておくのが安心です。クランプが無くても、2cmほどのコルクの切れ端が7、8個あれば、サックスの解放キーをすべて塞ぐことが出来ます。
工場出荷時のサックスは、クサビ形のコルクのチップですべてのキーを塞いで固定しています。特にキーアームが長く、カップが大きいバリトンサックスには効果大です。「心配し過ぎだよ!」という前に是非お試しを。調整に出す頻度が少なくなること間違いなしです。
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