音楽をやっていると、なにかとスポーツと比較されることが多いような気がします。学生であれば、軽音楽部や吹奏楽部の部員達は、野球部やサッカー部等の「体育会系」と比べられ、「軟弱だ!」と言われることが少なくありません。しかし楽器を演奏するという事は体を動かすことです。特に管楽器はスポーツに匹敵するほど体力を使う事もあります。そう、我々サックス奏者も体育会系のみんなのように、練習や試合(本番のステージ)での「体力配分」や「疲れのコントロール」を考えることはとても重要です。
スポーツの練習で重要なことは基礎体力と技術の向上です。サッカーなら45分ずつの前半後半を乗り切れる体力を養い、相手に負けない技を鍛えます。サックスならどうでしょう。何曲吹いても疲れて緩まない唇の筋肉、楽器を支える首の力、素早いタンギングをするための舌の動き、超絶フレーズを吹くための指の操作等を鍛えるのでしょうか?ロングトーンや基礎練習は、そんな目的のためにやってるんですよね…。って、違いますよぉ~!。スポーツの練習では確かに体力増強を目指しますが、それが最終目的ではありません。長い試合時間を、能力を衰えさせることなく乗り切ることが本当の目的で、体力増強はそのひとつの手段です。例え体力が向上しなくても、45分間フルスピードでプレイできる「疲れない走り方」が出来たなら、それでも良いのです。サックスも同じです。練習で「鍛える」ことを目的にするのはあまり感心しません。とかく練習というと苦しいことを繰り返し、その苦しさに打ち勝つことが練習の成果と考えてしまうことが多いようです。スポーツなら、ひょっとしたらそれはあっているのかもしれませんが、サックスなどの楽器に関しては、「違う」と断言できます。サックス等管楽器の練習の重要な目的のひとつは、「疲れない吹き方を身に着ける」という事だからです。練習の本質を深く考えれば、スポーツも楽器も同じです。いつでも、どんな状況でも、自分の能力を最大限に引き出せるようにするのが「基礎体力」です。ロングトーンの練習をするときは、いかに楽に、無理をせずに、美しく均一な音を長い間出すことの出来る「楽な吹き方」を探す練習をお勧めします。これが「疲れのコントロール」です。こう吹くと疲れない、また、疲れてきたらこう吹けば音がぶれない。そんなことを意識しながらの練習が効果的です。
また多くの音楽指導者の方々が、「欠点直しの練習に終始するのは感心しない」と言っています。吹けないフレーズをゆっくりと何百回も繰り返せば、だんだん吹けるようになって来ます。しかしそんな練習は疲れるだけです。マイナス面を消すだけの練習では、何も新しいものは生まれません。3時間の練習が疲れるだけで楽しいですか?そこにも疲れのコントロールが必要です。得意な部分をより強調するための練習や、好きなフレーズをより滑らかに吹く練習など、「練習での心の疲れ」に配慮した練習を心掛けてみたらいかがでしょう。
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