もう百回ぐらい言っているかもしれませんが、サックス吹きにとってリードは永遠の悩みの種です。リード選びを原点に帰って、もういちど基本から考えてみましょう。
リードは振動して音を出します。この音がサックスのサウンドの源流です。リードの良し悪しを言う前に、「振動する環境」を整えましょう。マウスピースには正しくリードをセットすることが必須です。正しいセットとは、左右にずれが無く、先端もマウスピースの先端に揃えましょう。先端の合わせ方は、「髪の毛一本分手前」、「ぴったり」、「リードをマウスピース先端に押し付けてピッタリ」と3種類ありますが、好みと鳴りで選んでください。リガチャーの位置はマウスピースのリガチャーマークに合わせるとか、なるべく下側とか、二本ネジの先端側は少し緩める」とかの諸説ありますが、リードがずれないようにしっかりと留めることが重要です。好みの調整の前に、「しっかりと」だけはちゃんとお願いします。リードが接触する大事なポイントはマウスピースのテーブルだけではありません、その反対側、奏者の下唇も重要な接触ポイントです。下唇を巻き込んで唇越しに下の歯でリードを押さえるシンリップ、下唇を巻き込まないファットリップ、上の前歯もマウスピースに触らないダブルリップ、とアンブシャには色々ありますが、どう下唇がリードに接触するかが大事なポイントです。下唇のリードへの接触によって、リードの振動を妨げないことが重要です。一般的な接触のベストポイントは、唇の柔らかい皮膚とその下側の顔の皮膚との境目です。ここでは「振動を妨げない硬い線」があり、そこでリードを押さえればもっとも振動を吸収しにくい状態となります。唇の厚さの個人差によって、このポイントでリードを支えるために、どのくらい下唇を巻き込むかが異なりますので、鏡を見ながら確認してください。
リードの形も鳴りに大きな影響が有ります。リードの裏側が凹んで円弧を描いているものはリードの平均的な振動を阻害します。紙やすりやリードリサーフェサーなどでフラットに加工するのが良いでしょう。この場合注意すべきなのは、リード裏面が平滑であることが重要なのではなく、マウスピースに対して左右対称に、ぴったりと接触することが目的です。リードの左右のバランスを崩さないよう注意してください。リード先端のカーブとマウスピース先端のティップカーブがぴったり揃っていないと、リードが鳴らないと思っている方が少なくありませんが、曲線の違いが左右対称であればさほど気にする必要はありません。リード先端のカーブを矯正するために、リードカッターを使用するサックス奏者がいらっしゃいますが、これはマウピピースティップのカーブに合わせるためにカットしているのではなく、リードの先端をほんの少しカットすることでリードの振動の仕方を調整しています。
「リードは天然の植物だから、鳴りのばらつきはどうしようも無い」と諦めているサックス奏者が少なくありませんが、今日挙げたポイントをチェックしたり、修正するだけで、ダメリードが変身する場合が少なくありません。
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