サックスという楽器も機械の一種です。例えば自動車のタイヤやブレーキパッド、エンジンオイルなどのように、消耗し、交換や手当が必要な部分が沢山あります。それらの消耗部品への注意を怠ると、「演奏中に音が出なくなった」、とか、「音程が修正できないほど狂ってきた」等の予想外のトラブルに通じることがあります。今日はサックスの消耗部品の話しです。
サックスの一番の消耗部品は「リード」です。こればっかりは避けられない「使用による劣化」です。それにコストも安いものではありません。樹脂リードを使って寿命を延ばすという手もありますが、天然リードの「延命法」はいくつかあります。近代では常識になりつつある、リードの湿度管理もその一つです。保湿機能を持ったリードケースを使ったり、使用したリードをビンの中で水中に沈めて乾かないようにしたり、等の対策でリードの乾燥を防ぐことで寿命は延びるようです。何ら科学的根拠のない医療迷信のような方法ですが、 「渋いお茶にリードを浸しておくと、コシが生き返る!」というひともいます。ま、捨てる前に試すのも一考かと。
リードに続くサックスの消耗部品となると、皆甲乙付け難い「消耗度」です。まず気になるのはネックコルクでしょうか。使っているうちに硬くなり、また擦り減って、マウスピースとの間で空気が漏れるようになる場合があります。カッチカチのネックコルクのサックスを平気で吹いている方をたまに見かけますが、「なんか硬そう」と感じたら交換しましょう。トーンホールを塞ぐパッド(タンポ)も影響が大きい消耗部品ですね。はっきり言って、そのサックスのオーナーが、「パッドが硬いな」と感じたらほぼ手遅れです。定期的にリペアマンに見てもらい、劣化したパッドを交換するようにしましょう。フェルトも地味ですが重要な消耗部品です。金属部品の間に入って「衝撃を防ぐ」のが主な役割ですが、もうひとつ 「パッドの開き具合を微調整する」という役割もあります。取れてしまったり、潰れてしまったフェルトによって、トーンホールカップの位置に不具合が生じる場合があります。たまに自分の楽器の「フェルト」をじっくり観察してあげましょう。
多くのサックス奏者が、意外と無頓着なのがサックスの管体表面の消耗です。ソプラノを除くサックスの管体左側は、演奏中に奏者の太ももに擦られるので、塗装やメッキ、また地金も擦れて摩耗します。長きに渡って摩耗しますので、その影響に気が付き難いのですが、表面が変わればサウンドも変わります。クロス等で磨きすぎるのも考え物ですが、全く表面を掃除しないでサビが出るのも良くないかもしれません。またサックス表面のサビを研磨剤で磨く方をたまに見かけますが、研磨剤はお勧めしません。手の油を拭き取る程度で充分です。またサビは金属表面に酸化膜を作るので、それ以上の劣化を防ぐ「防御層」となる場合もあります。管体の大幅なクリーニングは、是非リペアマンに相談してからおこなってください。
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