サックスを演奏される皆さんですので、そのほとんどの方は、ステージ等での人前での演奏を経験していることと思います。「人前での演奏」の一番の難関は、自分の演奏技術でも楽器の良し悪しでも、ましてや自分の音楽性でもありません。最も重要で難しいのが、「緊張しない」ということです。いつもの練習の時のような平常心で居られてこそ、自分の力を最大限に生かした演奏が出来る訳で、緊張で体がこわばっていては、良い演奏が出来る訳がありません。ステージ上でリラックスするにはどうしたら良いのでしょう。
ストレス管理法を説いた書籍やウェブサイトで必ず解説しているのが、「精神のリラックスと身体のリラックスの相関関係」です。緊張とは筋肉の硬直であり、精神の不安定さでもあります。そしてその両者は互いに影響し合い、フィジカル(身体的)な緊張はメンタル(精神的)な緊張を生み、逆にメンタルな緊張はフィジカルな緊張を誘発します。フィジカルとメンタルの両面から緊張をほぐすのが一番ですが、精神的なアプローチでの緊張緩和は簡単なようで結構難しく、「あがっていない、あがっていない」と心の中で唱えるとか、「手のひらに人と書いてそれを飲み込む」なんていう、伝統的な手法しか思いつきません。また人によっては精神的な緊張をまったく意識しておらず、「俺は心臓に毛が生えてるから」なんて言いながら、身体がガチガチになっていたりするので始末に負えません。ですので、ステージでの「緊張緩和」には、フィジカル(身体的)なアプローチをお勧めします。筋肉をリラックスさせれば、精神も連動してリラックスして来ます。
サックス演奏時のリラックス方法ですから、まずは指から攻めましょう。とはいえ本当に指から力を抜いてしまったら、サックスの操作が出来ません。柔らかくするポイントと硬くするポイントの区別が重要です。サックスを吹くときの両手は、「卵を包み込むような形」が基本です。指の筋肉を緩める必要はありません。指一本一本は硬くて良く、それがキーを押す力となります。力を抜くのは手のひらです。それによって運指が滑らかになります。ただし手のひらの緊張を緩めるには、肘や肩の筋肉のリラックスも必要です。サックスの運指をスピーディーにこなす為に、どこの関節を一番スムースにすることが必要かを考えて力を配分してください。
次に大事な筋肉は喉の筋肉です。ここのリラックスは意外に簡単です。何も考えずにステージに上がれば、必ずと言って良いほど喉の周りの筋肉はガチガチです。普段の生活では喉の筋肉など意識しないので、無意識な部分ほど無意識に緊張してしまうのです。「喉を開けよう」と首の周りを意識し、大きな欠伸をすれば、もう喉はリラックス状態です。一曲目の第一音から素晴らしいサウンドが出る事でしょう。「意外と簡単でしょ」、と考えることが一番大切です。リラックス、リラックス!
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