サックス ストラップ

新世代ストラップ

*サックス奏者にとって、サックスを首から吊り下げて支えるための「ストラップ」は、とても重要なサックス周辺アイテムのひとつです。とは言え、「楽器に付属してたのを30年間気にせず使っている」という無頓着派もいれば、「首への負担は最小限にしたいし、何しろカッコ良いことが重要」などというこだわり派も少なくありません。サックスの重量がかかる首や頚椎への負担を軽減するものや、演奏のし易さを追求したもの等、このサックスストラップに対しては、沢山のメーカーが独自のこだわりを持った最新の製品を発表しています。
 ストラップへの工夫で近年の流行と言えば、首の左右から下がる紐が一本に収束する、「Y字部分」の幅や構造への改善でしょう。この部分に長い棒を挿入した「ブレステイキング・ストラップ」や、長さ調整プレートそのものを幅広のT字型にした「バードストラップ」などがこれに当てはまりますが、いずれの工夫も、首の左右から下がるスリングを垂直に近くすることで、首の締め付けを和らげます。それによって、喉が開け易くなったり、演奏姿勢にも余裕が出来るようです。
 首に直に巻きつく「ネックパッド」への工夫は星の数ほどあります。パッドの形状をブーメラン型やアーチ型にして、力の分散を実現したものや、一見シンプルなベルト型でも、柔らかさや硬さ(反発力)で首への負担を軽減しているものもあります。ヤマハの新型ストラップは、ネックパッドに「樹脂ボーン」という板状のバネが入っており、そのバネの反発力で首への負担を軽減します。このストラップは一般的なストラップと異なり、使っていないときは首当ての部分が真っ直ぐに伸びた板状になっています。ネックパッドは肌に直接当たる部分でもありますので、その触感に配慮した製品も多いようです。
 スリング(吊り下げる紐)も工夫の対象です。金属のチェーン、丈夫な編み紐、ナイロンベルト等に加え、丈夫な炭素繊維を編みこんだものもあるようです。スリングの機能的な重要ポイントは「強度」ですが、その弾力や長さ調整のしやすさ等も重要な使い勝手の要素です。スリングの材質によって、長さ調整機構との摩擦が変わりますので、スリングは単に丈夫なら良い、というものではありません。演奏中にストラップの長さが、微妙に変わってしまうようなものありますのでご注意を。
 最近見つけた「わお!」なストラップは、「ストラップなのに吊り下げないストラップ」です。フィンランドのERGObrass社の管楽器サポートシステムは、コイルバネで衝撃吸収する金属棒で楽器を下から支え、演奏時に楽器の重量を軽減する、という構造です。トロンボーン用やトランペット用等、各種のサポート製品がありますが、サックスの場合、その「支え棒」は床からではなく、奏者のお腹あたりから伸びています。イメージとしては、一般的なサックスストラップの先端に棒が付いており、お腹のあたりで棒を上向きにして、その棒でソプラノサックスを下から支える感じです。もちろんアルトやテナーには対応していません。しかしソプラノやクラリネットには、理想的な演奏姿勢のような感じです。
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