サックス等の管楽器奏者にとって、切っても切れない縁が「マイクとのお付き合い」でしょう。しかもステージによって有ったり無かったり、一人一本だったり、4人で一本だったりと、その関係性はまちまちです。マイクの設置やサウンドのミキシングは、基本的に会場のサウンド・エンジニアがおこなうものですが、音源である「奏者」が気にしなければならないことも少なくありません。今日はサックス奏者の、マイクの「それダメ!」事例を紹介しましょう。
ビッグバンドのサックスセクションに、各サックスに一本づつマイクが割り当てられるのは、なかなか「リッチ」な状態です。ブームスタンドでマイクはサックスのベルから30センチばかり離れてセットしてあります。グッドです。演奏が始まって、今度の曲はあなたのソロです。ステージが狭いのでソロはいわゆる「場ソロ」(その場で立ち上がってソロを吹く)です。さあ、ソロだ!立ち上がるとマイクは楽器のはるか下に向いている。ソロの音が全く会場に聞こえない。ああ、無常。よくあるパターンですね。こういう場合は、ソロを始める前に、自分でマイクを高い位置にセットし直します。リハーサルの時に、あらかじめどの辺にマイクを動かせば、立奏での自分のサックスの音を拾うかを確認しておきましょう。もし合奏とソロの間隔が短く、自分でマイク移動が出来ない場合は、隣のメンバーに頼んでおくのも手でしょう。マイクのブームスタンドを上下するとき、音がマイクに伝わってノイズを出してしまう場合もありますので、その辺にも留意しましょう。
小編成のバンドですが、サックスのあなたには一本のマイクがセットされています。ミキシングのバランスも良いようです。が、しかし、演奏に陶酔したあなたは、身体を大きく揺らしながら演奏しています。マイクに近くなったり遠くなったり、ペルにマイクを突っ込んだり、マイクの無いところで吹いたり…。ミキサーさんは泣いています。あなたは「マイクが聴衆」であることを忘れています。どうしても動きたいなら、サックスに専用の「クリップマイク」を取り付け、それをPAラインに接続してください。ステージ中を動き回るなら、ワイヤレスのシステムを購入しましょう。これなら客席に乱入することだって可能です。
「マイクから外れると怖いぞ!」の例ばかりあげましたが、実はそうでもない場合も少なくありません。ビッグバンドにしろスモールバンドにしろ、ステージに沢山マイクがあっても「オフで音を拾う」場合があります。バンドの生の音量がある程度大きいので、マイクはサウンドバランスの調整のために、極々絞った音量で使うケースです。この場合は、アンサンブルの部分ではあまりマイクの事に頓着する必要はありません。リハーサルやサウンドチェックの際に、マイクの「働き具合」をしっかりと把握しておきましょう。
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