春となり、温かくなってくると外に出たくなります。サックス奏者の皆さんも、公園や空き地、河原などでの「外練」をしたくなる、おあつらえ向きの天気になってきます。サックスだけでなく、管楽器は総じて大きな音が出るため、家での練習にはいきおい制限がかかります。外で伸び伸びと大きな音が出せるこの季節、「外練」でのいくつかの注意を紹介しましょう。
「外練」の基本は、なにはともあれ「自分」を大事にすることです。寒さや雨などの天候で「外錬」を強行すれば、あなたが風邪をひいてしまいます。サックスの練習で風邪をひいたなんて、誰も同情してくれません。まずは自分の体を第一にいたわってください。体の次にいたわるのが楽器です。サックスは木管楽器と言っても、ほとんどの部品は金属製なので、かなり丈夫な部類の管楽器です。クラリネットなど自然木材で出来た楽器は、室内と屋外との湿度や温度の差で木材が膨張してしまい、ひどい場合には主管の割れ(クラック)も引き起こしてしまいます。湿度はともかく、サックスも大きな温度差は決して良い条件ではありませんので、室温と外気の温度差には注意を払ってください。また、「外錬」での直射日光にも注意が必要です。サックスの表面処理にはラッカー等の塗料が使用されていますが、これらの塗料は概ね太陽光に含まれる紫外線の影響を受けます。強い紫外線下に長時間サックスをさらすことで、塗料の色が変色する「焼け」や、塗装面にしわがよる「ちじれ」等の影響が出る場合がありますので、夏の直射日光などには十分注意してください。
「外錬」では風にも注意してください。ま、風が当たるくらいではサックスは壊れませんが、警戒ポイントは風が飛ばしてくる「砂ぼこり」です。外気には風に運ばれた細かい砂や埃が含まれ、空気中を舞っています。これらの砂や埃がサックスのシャフトの軸受けや、回転部に付着すると、機械油の中に留まって、可動部を擦る「やすり」のように機能してしまいます。目に見えないような砂埃でも、長い間にサックスの可動部をすり減らします。気が付いたら、「シャフトがガクガク」なんてことにもなり兼ねません。風邪で埃が舞っているような日に、外で練習するようなことは避けるのが賢明でしょう。
「外錬」では、サックスの故障などの楽器への配慮に加え、練習の方法そのものにも注意が必要です。広い屋外では、自分のサックスの音を反射する壁等は無いことがほとんどですので、自分の耳を使った音量のコントロールが難しくなります。ついつい無理して大きな音を出してしまう傾向が出てきますので、それがもとで喉にダメージを与える場合もあります。また小さな音が聞こえ難いので、サックスのコントロールが雑になりがちです。しかし、広い場所で、自分の音を「遠くに飛ばす」のはとても気持ちが良く、かつ重要な練習です。気持ちの良い「外錬」をしてください。
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