管楽器は空気を振動させて音を出す道具です。その楽器の長さ、もしくは共振する波長によって、その楽器から出る音の高さが決まります。普通の気温の変化程度では、楽器素材の熱膨張は無視できるほどの些細なものです。すると、気温が上がると空気の波長が変わり、その長さの楽器で出る音の振動数が大きくなる、つまり音が高くなってしまいます。楽器がいつもより冷えているとき、いつも吹き方では楽器から出る音は低くなります。そして楽器を吹くにしたがって暖かい息が楽器の中を温めていき、音がだんだん高くなります。今日は温度とピッチのコントロールについてお話しします。
真冬のアンサンブル練習。みんなが楽器を準備したら、各々が自分の楽器をチューニングします。練習が進むにつれて、楽器達のハーモニーが崩れていきます。みんなの楽器のピッチがめちゃくちゃ高くなっています。真夏の野外コンサート。控室でチューニングしたはずなのに、楽器のピッチがどんどん高くなっていきます。自分の音を聞きながら、マウスピースを抜いてピッチを合わせていますが、もうこれ以上抜けません。楽器はもの凄く熱くなっています。皆さんにもこんな経験はありませんか?サックスでもトランペットでも、管楽器は冷えていれば音のピッチが低くなり、熱くなれば高くなります。奏者の息の温度は36度前後で均一ですので、外気の寒さやエアコンで冷えた楽器を吹いていれば、だんだん温まりピッチが高くなります。真夏の日差しで高温になった管楽器は、息を通したくらいでは温度は下がってくれません。アッチッチでピッチの恐ろしく高い楽器になります。
サックスに限らず、管楽器奏者はこの「楽器の温度と気温」に注意して演奏しなければなりません。「ウォーミングアップ」とは、演奏前の肩慣らしだけでなく、文字通り「楽器を温める」ことが必要です。あなたの楽器が冷たいと感じたら、全トーンホールを塞ぎ、温かい息を大量にサックスに入れましょう。マウスピースやネックを手で温めるのも効果的です。ベルに軽くタオルを詰め、低い「ド」の運指で息を入れると、息が楽器を効率的に温めてくれます。温まった楽器は決して寒い場所には持って行かないように。すぐに冷たくなってしまいます。ステージ本番前などで楽器を温める時間が無い場合は、楽器が吹いていると温まり、ピッチが上がることを想定してチューニングをします。あらかじめ低めにチューニングする、ということです。もしくはアンブシャを強めに、口をきつく締めた状態でチューニングをし、演奏中に普通に戻していく、という難度の高いやり方もあります。
炎天下の直射日光で熱くなった楽器は…。霧吹きをして楽器を冷やすトロンボーン奏者を見たことかおりますが、効果はどうなのでしょう。日陰に入るのが一番。日向に出ない、楽器を日向に置かないのが基本です。
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