前回はアルトサックスとテナーサックスの違いをお話ししましたので、今回はソプラノとアルトの違いをお話しします。サックスの持ち替え演奏をお考えの方や、「ケニーGが大好きなんですが、サックス入門にソプラノサックスはどうですか?」、などとお考えの方にポイントを合わせてお話しします。
そもそもソプラノサックスは吹き難いサックスです。というより、「かなり高度な演奏技術が必要なサックス」、と呼んでも良いと思います。しかし最近では、数々の近代技術で吹き易さが実現された、「意外と吹き易いソプラノサックス」が数多くあります。近年の有名メーカーのソプラノサックスなら、初心者の方々でも恐れる必要は無いと思います。でもヴィンテージのソプラノサックスは別格です。音程のコントロールが難しく、無造作に吹いたら音楽にはなりませんのでご注意ください。
ソプラノサックスの高音域では、口の締め方の強弱で音のピッチが極端に変わります。マウスピースはアルトサックスよりもかなり小さく、マウスピースの直径という点て、口輪筋 (口の周りの筋肉)を使ってマウスピースを締め付けるのが、極端に難しくなります。またマウスピースの短さが理由で、タンギングにも微妙なコントロールが必要となります。フラジオ音域も出し難いです。ま、そもそも高音域のサックスですので、それ以上の高音域が必要かどうかは疑問ですが…。トーンホールとパッドも、ソプラノサックスのものはとても小さくなります。各部が小さいので調整も微妙で、狂い易いですし、小さなトーンホールには、少しの汚れが溜まっていても音に影響が出ます。コンディションの維持にはより繊細な注意が必要です。
ソプラノサックスについて、やたら脅かしてしまいましたが、良い点も沢山あります。とにかく軽くて小さいのは、ソプラノサックスの長所でしょう。また特徴のあるサウンドも、ソプラノサックスの魅力です。音域によってサウンドの性質が極端に変わるのがソプラノサックスの特徴で、アルトサックスの音域を吹いても、すぐに「あ、ソプラノ!」と分かります。そのサウンドは他のサックスには無い「味」があり、好きになると病み付きになります。サックス界の「クサヤ」(分からない人、ごめんなさい。)ですかね。
ソプラノサックスが難易度の高いサックスと言われるのは、テナーとアルトの差と比較しての事だと思います。ジャズのジャンルではテナーサックス奏者もアルトサックス奏者も、さほど苦労せずに持ち替えて演奏しています。要は、「基礎演奏技術」がしっかりしていれば、どんなサックスでも臨機応変な奏法の微調整で、吹きこなすことは難しくない、ということです。バリトンサックスも独特の演奏方法が求められ、ある意味かなり難しいサックスです。でも「サックス演奏の基礎技術」は共通のものがあると思います。結論は、「どんなサックスも楽しいし、かっこ良いから、恐れずに挑戦しよう!」、ですね。
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