サックス アクセサリ

マウスピースの寿命

*サックスのマウスピースの材質は多種多様です。昔ながらのハードラバー(エボナイト)製。メタル素材では一般的な真鍮ばかりでなく、ステンレススチールやアルミニウムが使われているものもあります。新しい合成樹脂素材ではABS樹脂やアクリル、ポリカーボネート等も使われています。サックス奏者にとって音の根源であるマウスピースは、自分のサウンド作りに欠かせない大切な部品です。価格も超高価なヴィンテージの逸品や、職人のハンドメイドもの、精密加工機で製作される現代的な名品と、マウスピースを選ぶのは本当に大変です。この大事なマウスピースの「寿命」って考えたことがありますか?
 結論から先に言えば、「マウスピースには寿命があります」。サックスの演奏中、マウスピースはリードの振動とともに「震えて」います。しかもマウスピース全体に均一な振動をしているのではなく、先端、リガチャー接触部、シャンク(ネック接合部)では異なる振動をしています。この部分的に異なる振動はねじれを生み、マウスピースの各部に「ストレス」を与えます。ストレスはマウスピースの材質の強度に細かな変化を与え続け、最終的には「振動する構造としての機能不全」を起こします。簡単に言えば、「マウスピースは長年吹き続けることによる振動の蓄積で、いつか鳴らなくなってしまう」、ということです。 しかし、その寿命は素材の初期状況や演奏の際のストレスの大小、演奏の頻度等、多くの要素が絡み合うので、何時間、何年間でマウスピースが寿命を迎えるのかはまったく予測することは出来ません。また寿命があると考えると、寿命に向かって徐々に変化をして行くわけで、その変化を「熟成」や「成長」と捉えることもできます。新品のマウスピースがある状態に変化し、そのサウンドが変わって来た時、あるプレーヤーは、「このマウスピースは死んだな」と言い、別のプレーヤーは、「やっと枯れて来た」と言うかもしれません。

 50年以上前に製造されたヴィンテージマウスピースが、市場で高価で取引されています。 「腕の良い職人によって作られた名作は、50年以上経ってもその時代の音で鳴ってくれる」、というのは間違いです。マウスピースの材質は、どんなものでも「経年変化」します。完全に昔と同じ音では無いはずです。それでも「良い音」なのは、良質なマウスピースは良質な変化をする、ということです。奏者が受け入れられる上質な変化は、決して「死への過程」ではなく、むしろそのマウスピースの「味」や「性格」でしょう。
 このように、何もしなくてもマウスピースは歳を取ります。ましてや傷や欠け、ショックによる内部刺激は、その機能にダメージを与え、本来のサウンドが出せなくなってしまいます。マウスピースを大切に扱い、その変化に寄り添い、長く付き合ってください。
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