曲を始めるときは、リーダーなりコンサートマスター、もしくはドラマーの出す「カウント」でタイミングを合わせて合奏を始めます。この「カウント」で疑問を持ったことは有りませんか。いわゆる「指ぱっちん(英語でSnapping)でテンポをカウントし、「ワン、ツー、ワン、ツー、スリッ、フォ!」で曲が始まります。4拍子なら1拍・3拍の奇数拍にパッチンが欲しいところですが、スイング系のジャズの場合は必ず2拍・4拍にパッチンが来ます。ジャズが「アフタービート」を大切にするが故の「裏打ち」なのですが、違和感を感じる方は少なくないはずです。今回は「裏打ちの正否」を含めて、曲を演奏する際のリズムの取り方についてお話しします。
結論から言ってしまうと、裏打ちだろうが、表打ちだろうが、自分がリズムを取り易ければどちらでも良いのです。何故ならば、「カウント」は音楽ではなく、ただの合図です。バンドのメンバー全員が、気持ちを揃えて音楽を開始できれば、それでOKです。また、曲中のテンポの取り方も、演奏者個人が最もやり易い方法で構いません。ではその根拠をいくつか挙げてみましょう。300を超えるような速いテンポのジャズのジャンプナンバーは、裏打ちでは速さに追い付けません。楽譜に二分音符=150などと表記が有る場合は、頭打ちでテンポを取るのが無難です。また、あまりに裏打ちを意識しすぎると、曲中の一拍半フレーズや3拍フレーズなどの、一般的なトリックフレーズを取り逃がす場合があります。超一流のビッグバンドのメンバーの演奏中の足の動きを観察すると、かなりの一流プレーヤーが頭打ちで足を動かしています。御大ベイシー存命時のカウントベイシー楽団のサックスセクションでも、曲によって、また人によって、足は「1拍・3拍」、または「1・2・3・4拍」で踏んでいるのを目撃しました。でも出てくるサウンドは間違いなくアフタービートの「こてこてのジャズ」でした。
カウントの聞き方、準備の仕方で重要なことは、拍の頭のタイミングを非常に短い「瞬間」で感じる事です。奇数拍でも偶数拍でも、拍の頭をぴったりと瞬間で揃えることが「ビートのある音楽」では重要です。「わぁーん、つぅー、わぁん、つぅー、すりー、ふぉー」のような感じの、「揺れ」でテンポを感じてはいけません。「ワン、ン、ツ、ン。ワッ、ツッ、スリッ、フォ」のような、瞬間のタイミングでテンポを取りましょう。そういった「瞬間」で拍頭を感じることが出来ると、その間の「一拍の長さ」が長く感じられ、フレーズの表現を大きくすることが出来ます。表打ちでも裏打ちでも、フレーズを大きく取れれば「自由度」が上がります。要は「結果オンリー」です。結果が良ければ、どんな手段でもOKだと思います。
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