こういうブログを書いていると、多くのサックス奏者の方々からいろいろな質問をいただきます。それらのなかには、非常に答え難い質問も少なくありません。しかもそれは定型化しています。ある意味、「サックスに関する答え難い質問あるある!」です。
「XX社のテナーを吹いています。このサックスと相性の良いマウスピースを教えてください」。回答に困る質問のナンバーワンです。「相性」は非常に曖昧な言葉です。この質問で言っている「相性」が、吹き易さなのか、コントロールのし易さなのか、はたまた、質問者が求めているサウンドを生み出すための相性なのかが分かりません。この質問の意図が伝わる言葉に直して、「XX社のテナーを吹き始めた初心者です。付属のマウスピースにRICOの2番のリードで練習していますが、細い音しか出せません。マウスピースを替えたいと思いますが、どんな候補かあるでしょう。」、ならなんとか答えられます。もしくは、「XX社のテナー、モデル999を吹いています。付属のマウスピースのサウンドが、私のやりたいジャズの音に遠い気がしています。このサックスに合う、ジャズらしい音が出せるマウスピースを教えてください。」、などという、現状と目的、どういう風に答えて欲しいかがある程度はっきりしていれば、答えに窮することもありません。いずれにしろ、この手の質問に対して「正解」はあり得ませんので、具体的に質問していただければ、自分の経験からくるアドバイスを、より適切に返せると思います。
「ロングトーンが長く続きません。正しい腹式呼吸の方法を教えてください」。練習方法に関する質問も、答え難い場合が少なくおりません。100人のうち100人に適合する「完全に正解な奏法」はそんなに多くはありません。人間と楽器の関係ですから、状況や奏者の個性、楽器の性能に応じて奏法や練習法はそれぞれ微調整が必要です。勘違いのアドバイスをして、その奏者が体を壊してしまう場合も考えられます。「ロングトーンが続きません。ロングトーン練習時の適切な音量と音域を教えてください。」や、「ロングトーンが続きません。先輩は同じ音で同じ音量で、私の3倍の時間を延ばせます。チェックすべきポイントを教えてください。」、「ロングトーンが続きません。何故こんな練習が必要かも分かりません。ロングトーンは何故必要なのですか?」、のような質問なら答えようがありそうです。
決して、「こんな質問は嫌だ!」、なんて話をしているわけではありません。サックスや楽器、奏法に関するアドバイスを的確に受けるためには、質問する側もちょっと考えて、質問の内容を分析したうえで質問すれば、すぐに自分の役に立つ、より適切な回答を得られ易い、ということを覚えておいていただきたいと思います。このブログヘの質問だけでなく、友人や先輩、指導の先生への質問も、「自分なりに分析して」投げかければ、最高のアドバイスをゲットする確率も上がると思います。
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