サックスの消耗品といえばリードですね。サックス奏者は一生のうち、かなりの金額をリードの購入に費やします。そして第二の消耗品といえば「パッド」です。多分単価はリードよりも高価です。管体の下半分のパッドはそんなに頻繁に交換の必要ありませんが、管体上半分の、ネックに近い部分ほどパッドの痛みは激しくなります。「濡れる」、「乾く」が繰り返されることで、パッドの弾力性が失われ、徐々に硬くなっていき、最後には卜-ンホールヘの密着度が損なわれ、エアー漏れを起こすようになります。一番上の3、4個のパッドは、出来れば1年に一回は交換が必要でしょう。サックスを酷使するプロの奏者であれば、もっと高い頻度でパッド交換します。今回は、パッド周りのこだわりメンテナンス。上手くパッドと付き合うヒントを二・三、お話しします。
パッドの延命に高い効果があるのは、演奏中、練習中ともに、こまめにパッドの水分を拭き取ることです。吸水ペーパーを常にスタンバイしておき、ちょっとの休憩の際に「ソ」より上のパッドの水分を拭き取りましょう。吸水ペーパーをパッドとトーンホールの間に挟んで押さえつけ、「グイッ」と引き抜く方がいらっしゃいますが、この方法はお勧めできません。ペーパーの繊維がトーンホールのエッジに残ってしまいます。トーンホールとパッドの間にペーパーを挿入し、軽くパッドを閉めるだけで十分です。吸水ペーパーの替わりに1ドル札を使うのが、昔から「粋な方法」として伝承されていますが、新品のお札は水分をあまり吸ってくれません。またティッシュでの代用は、水分は吸いますが、繊維が残るので「×」です。
パッドを長持ちさせ、トーンホールの気密性を維持するための、隠れたポイントがあります。それは卜-ンホールのエッジ内側です。繊維カスが残るので、パッドの水分拭き取り時には要注意とお話ししましたが、このポイントを疎かにすると、かなり怖い結果になります。サックスの掃除で管体内にはスワブを通しますが、スワブは立ち上がったトーンホールの内側は掃除出来ません。しかしここにも水分は着きます。水分にホコリが付着すると汚れが定着します。トーンホールのエッジ内側は、放っておいたホコリが「固着」してしまっているケースが非常に多いのです。いくら吸水ペーパーでパッドの水分を拭き取っても、この汚れに水分が吸収され、パッドを濡らし続けます。またエッジ内側のホコリが積もり積もって、トーンホールとパッドの間に隙間を作ってしまう場合もあります。エッジ内側の掃除は、専用の「モール」で出来ます。針金の周りにブラシが付いたあれです。先端を曲げてトーンホールの内側、エッジ際を優しく擦りましょう。細かい作業が得意な方なら、綿棒の先をタイツと曲げ、エッジの内側を掃除することも出来ると思います。トーンホールのエッジの内側の掃除をお忘れなく。
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