多分、このブログをご覧のサックス奏者のほとんどの方が、「楽器は歌って演奏しなくちゃね。」、と心掛けていると思います。もしくは「歌う」という言葉を使った、類似の演奏の心得を聞いたことがあると思います。それどころか、楽器奏者にとっては、「歌う」という言葉は、ある意味、基本中の基本のキーワードでしょう。でも、「歌う」ってなんじやい?と思ったことはありませんか。「歌う演奏」をもう少し具体的に分析してみましょう。
「歌って演奏をする」、ということをほとんどのプレーヤーは、「頭の中でそのフレーズを歌いながら演奏する」、と考えていると思います。音楽の先生や指導者の方々もそう教えます。しかしこのフレーズは正解でもあり、間違いでもあります。何故ならば、手段を述べていても、その結果や目的を述べていない言葉だからです。頭の中で歌うことは大事です。何故歌うか。それはその歌に合わせて、そのイメージに合わせて楽器をコントロールし、結果的に楽器から音を出す、ということです。人間にとって心の中で歌う行為は、最高の音楽を作り上げることができるひとつの手段です。それは、自分の声の音域や声量、声質などという、物理的な制約を何ひとつ受けないからです。自分にとって頭の中の歌で音楽を完成させ、その歌に合わせて楽器を操作することが、「楽器を奏でる」という行為です。ですから、その「頭の中の歌」が未完成であれば、演奏も未完成になることも忘れないでください。まず、頭の中の「歌い方」を完成させるのが、あなたのサックスの音を「音楽」にするための必須条件です。
サックスという楽器を演奏する場合、もう一つの「歌い方」に対する配慮が必要です。いつもお話ししているように、サックスという楽器は、楽器と奏者の体が一緒になって、そのサウンドが作り出されます。サックスは奏者の体と「共鳴」しています。サックスから音が出ているとき、喉と口の中の形、そしてリードの振動エネルギーによってサウンドが作られます。サックスで高い音を出すときには、あなたの喉と口の中は、高い音が出る状態であることが必要です。同じように、低い音をサックスで出すときは、「低い声が出る喉の形」が最適なサックスサウンドを出すための要素です。音質が汚い、音程が悪い、リードミスが多い等のトラブルはほとんどの場合、この「喉の形」が影響しています。もちろん声として音を出す場合と、サックスを吹いて音を出す場合とで、完全に同じ喉の形というわけではありませんので、それなりの「調整」は必要です。また半音や一音程度の音の高さの違いを、喉で調整することは至難の業ですし、その必要性もあまり高くはありません。出したい音の高さをまずマウスピースを唾えずに、「アー」と歌ってみましょう。その状態の喉の形を意識しながらサックスで同じ高さの音を出してみてください。とても吹き易く、気持ちの良い、美しい音が出るはずです。是非お試しを。
——————————————————————————————–
- ホーム
- サックス 演奏, サックス 練習・レッスン
- 歌いながらサックスを吹く、という意味
『イー楽器のお得情報』