楽譜は楽器を演奏するものには、切っても切れない大切な道具です。「演奏」という時間と空間の芸術を、平たい紙の上の五本の線の上に記録してしまうのですから、なんとも凄い発明です。楽譜の読み方のルールをマスターしさえすれば、何百年も前の音楽でも、また誰も聞いたことのないオリジナル曲でも、楽譜はそれを記録しており、全くその曲を知らない人でも、その楽譜を頼りに演奏を再現することが出来るのです。楽譜さえあって、それをちゃんと吹きさえすれば、初めてのひと達ともばっちり合奏が出来てしまいます。そう、「ちゃんと吹けば」です。楽譜の「ちゃんとした吹き方」についてお話しさせてください。
八分音符や四分音符、二分音符や全音符。これら「オタマジャクシ」は音の長さを表し、その「居る場所」で音の高さを表します。あまりに当たり前の事ですが、四分音符の長さは「一拍」です。四拍子で、「パン、パン、パン、パン」と手を叩けば、「パン」の音の始まりから、次の「パン」の直前までが四分音符の長さです。ところがこの長さをめいっぱいに使うのは、その音符に「テヌートマーク」が付いている場合だけです。記譜上の約束では、次の「パ」の前に十六分音符程度の空白をつけるのが普通です。「パーア、パーア、パーア、パーア」つて感じです。スタカートマークが付いていれば、「パン」の頭で出した音はすぐに切って止めます。「パ、パ、パ、パ」という感じです。休符の場合は、音を出すのではなく、「出さない」というだけで、長さのルールは基本的に同じです。「休符」という名前から誤解し、本当に「演奏を休んでしまう」プレーヤーがたまにいますが、本当に休んではいけません。しっかりと拍を数えて、次の音符のために準備してください。「休符」というより「無音符」というほうが正しいかもしれません。当たり前のことばかりをお話ししたので、皆さんは読む必要がなかったと後悔しているかもしれませんが、本論はこれからです。「この当たり前の読譜ルールを、二分音符でも、全音符でも、タイで8拍分繋がった二つの全音符でも、同じ約束で伸ばす」というのが大切なのです。あなたのバンドのメンバーの合奏で、音の終わりがバラバラなことはありませんか?誰かが長さのルールを無視してしまえば、合奏は破たんしてしまいます。特に全音符や付点二分音符は要注意です。バンドでの申し合わせがない状態では、音符の長さ分、しっかり吹き切りましょう。 4/4拍子の場合の全音符は、一拍目の頭から吹き始め、次の小節の一拍目の頭の直前で音を止めるのが基本です。
経験を積んで、高い「初見力(初めて見る譜面でもある程度曲が演奏できる)」を持ったプレーヤーでも、今お話しした、「音の長さ」や「音の切り方」がぞんざいな方も少なくおりません。自分自身が、「楽譜をその通りに吹いているか」、をもう一度確認してみてください。
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