ご自分のサックスを取り出して、アンブシャや息の出し方を変えずに、最低音のシから最高音のフアまでゆっくりと無造作に吹いてみてください。音色はどうですか?パラパラではないですか?サックスという楽器は、各音の高さのばらつきもありますが、音色もその音の高さによって異なってしまうという構造上の欠点を持っています。低音から高音まで、滑らか均一な音質で、かつ正しい音程でサックスの音を出すには奏者の努力が不可欠です。すべての楽器の機能は奏者の技術に依存するものが大きいのですが、ことサックスにおいては 「演奏者次第」の部分がかなりの高い比重を持っています。言い換えれば、サックスには決まった音などないのです。そんなサックスで均一な音色をどうやって出すかを考えてみましょう。
人間の耳は偉大です。また人間の状況対応力も偉大です。そんな人間に吹かれるサックスは幸せモノです。だって奏者はサックスを吹きながら自分の音を聞き、無意識に吹き方を修正して、それなりの範囲の音質に持っていってしまうのですから。ご自身では意識していないかもしれませんが、サックス奏者の演奏はそれが基本になっています。こんなに器用なサックス奏者にも鬼門はあります。そのひとつがオクターブのレの詰まった音です。多くのサックス奏者がこの「レ」の音質のばらつきを悩みとして指摘します。しかし、「サックスには決まった音がない」、「どんな音でも出せる」、ということを思い出せば、こんな問題の解決は決して難しいものではありません。まず、「ド、レ」と吹く練習です。 ドォー、レェー、と吹きながら、どんなことをしても良いので二つの音を似させてください。良い音である必要はありません。似てればOKです。息のスピードを変えたり、顎の開き具合を変える等の方法が有効です。似てきたら各音の吹き方を記憶し、繰り返し練習します。同じことを「レ、ミ」でおこないます。最後は「ド、レ、ミ」です。少し難しいですが、何回か繰り返せば均一な音質が出せるようになるでしょう。日常の練習は、「シ、レ、フア、ラ」のB♭メジャー7が良いでしょう。この分散和音を均一な音質と正しい音程で吹けるようになればもうOKです。その頃には、「レを吹くときの指」と「レの吹き方」があなたの身体の中で密接につながっているはずです。どんなフレーズを吹いても、レの音は詰まった音になりません。だって「詰まった音にならない吹き方」で吹くように、体がそうなってしまったんですから。
「サックスの音作りは難しい」と言う方が少なくありませんが、「ゴールが無いのだから自分の出せる音から始めよう」と考えれば、音作りはそんなに難しいものではありません。結果としてあなたが良いと思う音が出れば、それでOKなのではないでしょうか。
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