サックス 演奏

緊張のコントロール

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サックス奏者に限らず、音楽をするプレーヤーにとって、人前での演奏は避けて通ることができない大きなのイベントでしょう。そしてそこには「最大級の緊張」が待ち受けています。「ちゃんと演奏できるか」、「聴衆に笑われるようなことをしてしまわないか」、「好きなあの娘の前でブザマな姿をみせないだろうか」等々、演奏での心配の種は尽きません。本番前、心臓が口から飛び出るほど緊張し、もうステージでは失神しそうなくらいです。人生の色々な場面で遭遇せざるを得ないこの「緊張」というやつは、何とかならないものなのでしょうか?
「緊張」は決してやっかいなだけの「悪モノ」ではありません。走り出す前の「用意!」の掛け声のときや、サックスで演奏を開始する直前のリズムへの集中等、これらもまぎれもない「緊張」の一種です。次に来るタイミングを逃さないために、そのタイミングに神経を集中し、張り詰める行為は「必要な緊張」です。体の力を抜いた、完全にリラックスした状況からでは、人間は瞬時の行動を起こすことができません。あるレベルの緊張状態が、次の動作への円滑な連結を生み出します。そう、適度な緊張は必要だし、役に立つのです。それどころか、色々な状況においてある程度の緊張は必須です。サックスの演奏で例を探すなら、「演奏中のリズムとテンポへの集中」、「譜面を記載通りに読み上げ、数小節先読みしようとする目線」、「アドリブソロの掛け合いで、相手の演奏に耳を傾ける瞬間」などは必要な緊張が生む必要な集中です。では不要な緊張とは…。簡単ですね、不安で体が動かなくなり、頭まで真っ白になる、自分にとってマイナスな事しかない「過剰な緊張」です。多くの場合、緊張が不安や恐怖を生み出し、生み出された不安や恐怖が緊張を増大させます。そして無限のループを作り出し、大きくなり過ぎた緊張が、身体の不調や、思い通りに動かない指や不本意な演奏となります。

 緊張のコントロールの基本は、先に述べたように「良い緊張は必要」と理解することです。本番のステージに立つ前に、楽器を構えたまま全身の力を抜いてリラックスしてみましょう。リラックスのし過ぎは反応を鈍くしてしまいますので、次にサックスを吹き出す寸前の指、腕、口、胸、等、全身の緊張をシミュレーションしてみます。それが「必要な緊張」です。この緊張をイメージの中に記憶し、ステージ上で出せるようにしておきましょう。「このレベル以上の緊張はしない!」と自分に言い聞かせれば、意外と緊張しないものです。緊張する自分に不安を覚え、その不安が緊張ループを作り出し、本来の力が出せないという状況は、 「緊張はするものだ!」と開き直ることで案外軽減できるものです。
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