サックスに限らず、楽器奏者の最終目的は、立派なステージで大勢の観衆の前で演奏することでしょう。とはいえ、いつもそんな「ハレ」の舞台ばかりではないと思います。忘年会・結婚式の余興や、内輪のパーティーでの演奏、ひどい場合は飲み会の席で突然の指名、なんてことも無い訳ではありません。学校や職場のまわりのひとが、あなたがサックスをやっていると知っていると、こんな厄介なケースが多々起きるものです。ライブやコンサートなどのちゃんとした演奏ではない、「サックス宴会芸」のテクニックについてお話しましょう。
宴会芸としてのサックス奏者の最重要ポイントは、「素早い立ち上がり」です。お座敷やパーティーではリハーサルもないし、楽器のウォーミングアップの時間もありません。下手をすれば、楽器を組み立てている時間さえ、周りに「ブーブー」言われてしまいます。サックスのクイックセッティングには人工リードが最適です。天然リードと違い、リードを湿らせるというウォーミングアップをまったく必要とせず、マウスピースにセットした瞬間に100%の実力を発揮してくれる、宴会サックスには最高の武器です。マウスピースを仕舞う際に人工リードをセットしておけば、「吹いてよ!」のリクエストに対し、リードセットの時間すらも省けます。宴会サックスではサックスのチューニングも速攻でおこなう必要があります。いつもの適正なチューニングをした際のマウスピースの位置を、ネックのコルクにサインペンで線を引いてメモしておきましょう。マウスピースをその位置に「ズボッ」と差せば、ほぼ完ぺきなチューニング、という位置です。コンサートやライブではありませんから、微妙なピッチの違いはたぶん気付かれません(汗)。そうそう、マウスピースやストラップ、リード等の小物はケースの中か、ケースのポケットに収納しておきましょう。別のかばんの中に仕舞ってあると、これも時間のロスになります。
宴会サックスのクイックセッティングの次は、宴会サックス奏法です。何も考えずにいつものように演奏するだけでは、宴会でヒンシュクを買うサックスの吹き方があります。それは「でかい音」です。サックスという楽器は、奏者が考えている以上に大きな音がします。ライブ会場やコンサートホールでは、音が散ってさほど気になりませんが、宴会やパーティーの会場のような小さな部屋では、サックスの音は「轟音」です。天井の高い吹き抜けのホールのような場所でもない限り、音量はp(ピアノ)かmp(メソピアノ)で十分です。演奏曲目?それはあなたの腕と趣味にお任せします。楽しい宴会を!
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