楽器を演奏するひとは、必ずと言って良いほど「座右の書」を持っています。「毎日の練習で、必ずこの本のエチュードでウォーミングアップする。」とか、「サウンドに迷ったら、この本を読み返して自分の演奏法をチェックする。」、というような、楽器演奏のための心の支えとなっている教則本が有ります。今日は名著と呼ばれるいくつかの教則本を紹介しますが、決して宣伝ではありませんので、実際に自分の手に取り、自分に合っていると思ったらお試しいただければ良いかもしれません。
ジャズサックス奏者に限らず、クラッシック系、ポップス系、ジャンルを超えたサックス奏者に支持されているのが、歴史的なサックス奏者、デーブ・リーブマンによる「サクソフォーン上達法」です。原題は「DEVELOPING A PERSONAL SAXOPHONE SOUND」というタイトルで、サックス奏者が自分のサウンドを論理的に構築していくための方法が記されています。決してサックス入門書ではありませんが、サックス経験の浅いプレーヤーでも十分に理解でき、かつ練習に生かせる記述に溢れています。楽譜こそありませんが、こういう演奏のためには、こういう練習や考え方が必要、というような、目的と手段を明確に提示している教本です。次は、ラリー・ティール著「サキソフォーン演奏技法(The Art of Saxophone Playing)」です。アメリカにおけるクラシックサックスのパイオニア的存在であるラリー・ティール Larry Teal(1905 – 1984)の著作です。「サックスがどうして音が出るのか」、から、「アンブシャの機能」、「サックスの練習法」など等、サックスのすべてに渡る知識を懇切丁寧に、かつ理論的に解説してある名著です。どんなレベルのサックス奏者に対しても、演奏や練習のヒントとなる基本的な示唆や情報が随所にちりばめられています。クラッシックやジャズというジャンルを超えたサックスの解説書です。ちょっとマニアックかもしれませんが、シガード・ラッシャー著「サウンド・メイクのための トップ・トーン・フォー・サクソフォン」も紹介しましょう。この本は、フラジオと呼ばれるサックスの高音域の演奏手法、運指を解説したものですが、この本に記述されたプロセスを実行し、サックスの倍音を理解し、コントロールすることで、サックスのサウンド作りの基本が会得できる本です。
練習用のエチュードやスケールパターンの名著も数多くあります。伝説のジャズサックスプレーヤー、オリバーネルソン著の「Patterns for Improvisation」はジャズのアドリブに必要なコード進行を、メジャー、マイナー、ホールトーン、ディミニッシュ、トライトーンなどを用いた、あらゆるパターンを記したフレーズ練習本です。発刊後50年を超える古典ですが、ジャズサックス奏者には基本中の基本だと思います。年配のプレーヤーには発刊当初のタイトル、「Pattern for Jazz」で通っています。同じく名サックス奏者、ジャッキー・マクリーン著、「Daily Warm-up Exercises for Saxophone」もお勧めです。単純なフレーズ集ではありますが、何百回も反復し、身体に覚えさせる価値のある基本フレーズばかりです。滑らかに各フレーズが演奏できるようになれば、もう上級ジャズサックス奏者でしょう
——————————————————————————————–
- ホーム
- サックス 演奏, サックス 練習・レッスン
- お薦めの教則本
『イー楽器のお得情報』