楽器の構造上、弱音器の効果が少ないサックスの練習には、大きな音を出しても問題の出ない練習場所が必要です。ネックに細工をしたり、サックス全体を囲んでしまう弱音器も市販されていますが、演奏上の制限や、吹奏感の違和感が少なくありません。サックスの場合は、金管楽器の「プラクティスミュート(練習用弱音器)」のような必殺技はないので、勢い「練習場所探し」がサックス奏者の共通の問題です。練習用スタジオも数多く存在しますが、時間単位の価格や、予約の取り難さ等、安易に常用することは難しいのが現状です。そこで近年注目されている、サックス等管楽器の練習場所が「カラオケボックス」です。
ボックスといっても大人数が入れる部屋もありますし、時間単位の使用料は練習スタジオに較べとても安価です。施設の数がスタジオとは段違いに多いので、思い立った時に気軽に使用できるのも魅力です。スタジオと違って、練習中の飲食も可能ですので、長い時間の「籠り練習」にも便利です。ただし難点も無い訳ではありません。まず、「管楽器の練習はご遠慮ください」というお店もあります。防音設備の都合で、楽器の音が他の部屋に漏れ、「歌」のお客様に迷惑がかかる、という理由が多いようです。また、「カラオケで歌うことを楽しむ」ため、部屋にはソファーとテーブルが常備されているのが普通です。座ってサックスを吹けるような椅子や、譜面台の上の楽譜を見ながら演奏練習をするには、多少スペースのアレンジや、工夫が必要となる場合もあります。長いソファーでは、足の右側にサックスのスペースが取れないので、極端に左を向いて座り、左足はソファーの上で「あぐら」、右足は「ソファーに座っていない」、というような座り方が良いでしょう。この場合、ソファーの前ピッタリに譜面台を置けば、譜面を見ながらサックスを「座奏」することができます。しかし、ソファーのすぐ前にテーブルがあるとこの座り方は困難です。このあたりは練習スタジオには勝てませんね。
音楽練習スタジオでは、模範演奏やマイナスワン音源を聞きながら練習できるよう、CDやポータブルオーディオが接続できる音響装置が設置されています。またその装置を使って、自分の練習の音を録音することも可能なようになっています。カラオケボックスではこのような専用の装置はありませんが、カラオケのマイクのジャックにポータブルプレーヤーを接続したり、エレキギターが接続できるカラオケセットもありますので、ちょっと工夫すれば「聞きながらの練習」は可能かもしれません。カラオケセットを壊してしまう場合もありますので、音源を接続する場合はお店の方に相談しましょう。
カラオケボックスは残響が大きいので、自分の楽器の音のサウンドチェックには不向きです。サウンドチェックや音質のコントロールの練習は、やはり練習スタジオや、広い屋外の河川敷などでおこなったほうが良いでしょう。
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