最近の社会人アマチュアビッグバンドの活動の活気には、目を見張るものがあります。70年代後半から始まった大学ビッグバンド結成ラッシュから早40年余り。多くの学生ビッグバンド出身者が、社会人になってもビッグバンドを結成し、演奏を続けているようです。また、「譜面がある」という取っ付き易さ(?)から、ビッグバンド経験者でなくても、また楽器の初心者でも、社会人ビッグバンドでの演奏を楽しんでいるかたも多いようです。学生や社会人、いわゆるアマチュアの「ビッグバンドメンバー」は、日本にかなりの数が居るはずです。プロのビッグバンドは、かつての黄金時代からはめっきりとバンド数が減ってしまいましたが、その分メンバー不定のスペシャルバンドの活動は少なくありません。今日はそのビッグバンドに不可欠な「箱面」の話しです。
同じデザインで、ビッグバンドのホーンセクションの前にずらっと並んでいる、箱の様な譜面台。それが「箱面」です。客席側の面にそれぞれのバンド名のロゴが施されているのが一般的です。バンドによってはロゴだけでなく、バンド名の由来のワンポイントイラストを加えたり、色の塗り分けを工夫したりと、そのバンドの個性が出ています。ホーンセクションばかりでなく、ベーシスト用にも箱面があります。ベーシストは立って楽器を弾いていますので、譜面置き部の高さを上げるために、「ライザー」というゲタを履いて30〜40センチばかり高くするのが一般的です。バンドの全員が箱面を使うとかなり場所を取ってしまうので、最近ではギター、サックスセクション、トロンボーンセクションだけが箱面を使うというケースが多いようです。
箱面の素材は、ベニヤ板やスチレンボード、樹脂パネルなどと多様ですが、組み立て方や安定性も箱面メーカーによってデザインが異なり、選ぶときには悩んでしまいます。移動の利便性のために軽量な箱面を選んだら、野外のステージで風に飛ばされてしまった、なんてことも珍しくありません。ある箱面のデザインでは、床に設置する面に「べろ」が出ており、それを演奏者が踏んだり、ステージにテープで留めることで、箱面が飛ばされるのを防ぐ工夫が施されているものもあります。客席側の面の上部に細長い穴がある箱面がありますが、その穴は箱面を運ぶための取っ手になっています。箱面の譜面を置く部分の下には必ずひさしのような譜面受け部があり、大量の楽譜を置いても下に落ちないようになっています。昔のキャバレーやダンスホールのビッグバンドは、100曲以上の譜面を常に箱面の上にスタンバイさせておき、どんなリクエストにも応えられるようにしていたそうです。
箱面使用時の悩みはその高さです。普通の譜面台は、高さや譜面の角度をかなり自由に変えられますが、箱面の高さと角度は固定です。近いモノが見えにくくなって来た「お年頃」のプレーヤーにはこれは重大問題です。近くも無く遠くも無い、演奏者と譜面の微妙な距離の不具合で、「箱面用の老眼鏡」を持っているサックスプレーヤーは珍しくないようです。(笑い)
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