相変わらずサックス界ではヴィンテージサックスは強い人気があります。セルマーに限らず、コーンやビッシャー、キングやマーチン等のメーカーのサックスがお店やオークションで流通しています。その音色やルックスで人気のヴィンテージサックスですが、その人気ゆえにとんでもないモノも出回っています。ヴィンテージサックスを選ぶ際の、あんなことやこんなことを紹介しましょう。
多くのヴィンテージサックスは吹き継がれた時代を感じる事の出来る「素晴らしい楽器」の他に、残念ながら「売るための見かけだけのヴィンテージサックス」も存在します。高値で取引されるサックスですので、それにつけ込む悪い奴が居ても不思議はありません。一番怖いのは、複数のジャンクサックスのパーツを組み合わせて作った、「二個いち」、「三個いち」のサックスです。もちろん吹くためにそういった修理が行われた場合は、注意深い調整がなされていますので、あまり大きな問題はありませんが、「売るため」にそれがなされた場合は、見た目にはまともなサックスでも、吹いたらとんでもないモノが少なくありません。見た目でごまかそうと作られたモノですので、この「二個いちサックス」を吹かずに見分けるのはそう簡単ではありませんが、チェックすべき部分は二、三あります。注意するのは管体の接合部、ベル、U字管、主管の接合部の隙間や歪み具合です。吹くためのサックスであればしっかりと接合され、空気漏れするような隙間はありませんが、「見るためのサックス」はこの辺はかなりいい加減です。また各部品の塗装やメッキの色や傷み具合も重要です。ベルとU字管の色が違うようなら、間違いなく二個いちサックスです。サックスは落下によりU字管が潰れてしまう事故が多いため、U字管交換は結構普通です。これも楽器としての修理なのか、見せかけのための悪意の誤魔化しかでは大きく差が出ます。
サックスにはいくつかの弱点があります。バリトンサックスの最上部のカール管、アルトやテナーのU字管、ベル前、ネック等の部分は、落下や転倒で致命的なダメージを受け易い弱い部分です。これらの部分が破損したジャンクサックスは沢山あります。それらの使用可能な部分を取って、組み合わせ、楽器としてちゃんとした「一台」を作ることは素晴らしい事だと思います。しかし、そのジャンクの山を見て、人をだますためのサックスを作ろうと思う人間も中には居るのです。決してそんなサックスにだまされないでください。とにかくサックスは吹かなければ分かりません。良いヴィンテージサックスでも、あなたには向かないものもあるかもしれません。サックス選びは慎重に越したことは有りません。
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